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未来のライフ・デザインを考える ~私立中高一貫校の学校生活シミュレーション~

中高6年間の学校生活シミュレーション
憧れの私立中高一貫校での生活を誌上体験してみよう!

中学受験を経て、晴れて入学した生徒たちはどのような学校生活をおくることになるのでしょう。本誌では、シリーズ「名門私学探訪」として私学の学校生活の様子をお伝えしていますが、ここでは各校の事例をまじえながら紹介します。

環境/設備
LOCATION & FACILITIES 私学ならではのロケーション

カトリック系の神戸海星女子学院は、阪急神戸線「王子公園駅」から山手に歩いた位置にある。校舎の上に立つ聖母子像は同校のシンボル、いつも生徒たちを見守っている

私学の通学範囲は広く、片道1時間をかけて通学するというのも普通です。JRや私鉄など公共交通機関の駅から近く、通学に便利な市街地の学校もあれば、自然珊境に恵まれた山手の学校など様々です。立地はもちろんですが、教育環境として施設・設備の充実も私学の大きな特長。校舎一つとっても、国の登録有形文化財に指定されている校舎から最新デザインの校舎まで実に多彩です。多くの時間をすごす教室、体育施設、図書館など、その私学の考え方が施設のデザインにも現れています。

こちらはプロテスタント系の大阪女学院。大阪市中央区玉造、閑静な高台にある。校内には樹木や草花が多く、四季折々の変化を感じることができる。建築家ウィリアム・メレル・ヴオーリズによるキャンパスデザイン
JR京都線「丹波口駅」が最寄駅の京都産業大学附属。校舎は日本家屋のように、切妻屋根になっている。
ガラス張りでポールヘニングセンの照明がおしゃれな金蘭千里の進路指導室。
三田学園の創立25周年時に建てられた「記念図書館」は有形文化財。
校内に保健センターがあるのは、愛知県の全寮制男子校・海陽中等教育学校

授業
LESSONS 学ぶことの意味と価値を知る

以前取材した白陵の理事長・斎藤興哉先生の「漢文」の授業。凛とした雰囲気の中に、時折ユーモアもちらほら。学問の楽しさを実感した

私学教育の根幹は、やはり質の高い授業。たんに大学受験に向けた問題演習をするのではなく、そこには将来の大学での研究活動や生涯教育を前提とした深い学びがあります。リベラルアーツをベースにした私学もあり、そうした学校には自由闊達でアカデミックな校風が息づいています。人問性があふれ、専門性の高い教師の存在も大きいでしょう。豊富な実験や観察、生徒の自主性を重んじる探究型の授業、幅広い表現活動などが魅力です。

生徒一人ひとりが時間割を組む関西学院千里国際。カリキュラム内容もユニークで、外国人教師が担当する授業も多い。これは高校での「哲学」の授業の様子
大阪の四天王寺は最難関の女子進学校。ふだんから理科実験も多い。大学進学については医学部医学科を志望する生徒も多く、仏教系の私学校らしく「宗教」の授業も行われている

サイエンス×グローバル、常に中等教育をリードする私学という存在

近年、物事を科学的に地球規模でとらえるという考え方が広まってきました。環境、食料、貧困、戦争、貿易摩擦など、世界中で起こる様々な問題が毎日のニュースとして取り上げられています。私学にはもともと海外のキリスト教修道会が設立した学校も多く創設当時から世界と繋がる「私」という存在をしっかり考える場面が日常の生活のいたるところにあります。
「多文化理解・多様性理解」は私学教育を語るうえでのキーワードとなります。
私学それぞれに特色があり、独自の校風を持っていることそのものが、多様性を前提としていることの証でしょう。もちろん、私学に在籍しているのは多方面から通ってくる生徒たちです。幼い頃から地元で一緒に育った仲間ではなく、個々のバックグラウンドも大きく異なるわけですから、中学入学後のスタート時点から、まず自分と異なる他者を受け入れることから第一歩を踏み出す必要があるのです。