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未来のライフ・デザインを考える ~私立中高一貫校の学校生活シミュレーション~
デザインは、カテゴリーではなく暮らしの中で「つなぐ」もの
佐藤 いま、仮に図書館に行って本を探しているとイメージしてみてください。政治や経済、科学、医療や福祉といったように、書籍は分類されています。日本十進分類法の中では、デザインは「芸術」という中に位置づけられています。でも、私がデザイナーとして長年仕事をやってきた上で思うのは、デザインというのは「カテゴリー」ではないということなんです。
たとえば「政治」に着目してみましょうか。これからどのような世の中にするというヴィジョンもデザインだし、衆議院や参議院という仕組みや構造、法律を作るための各委員会のような関係性を作る場合にもデザインは必要です。それらを機能的に運営するために国会議事堂という建物も作られています。つまり、すべての物事が必すデザインというレイヤーを経ていることになります。それはほかの分野でも同じように当てはまることなんですよ。
小松原 政治や経済と聞くと、テレビの国会中継やニュースのように、どこか遠い話のように思えてしまいますが、実は身近な日常の暮らしそのものですね。
佐藤 そうですよ。企業や大学などの研究機関で、いくら素晴らしいテクノロジー(技術)が生まれても、それをデザインとしてコーディネートしなければ、人の役に立つ形で生かすことができません。つまり、私たちの生活というのはデザインの上に成り立つものだということなんです。
小松原 カテゴリーを越えるものとしてデザインが存在するというお話はすごくよくわかりました。今度はデザイナーという職業について教えてください。こちらはかなり細かく職種が分けられていますね。
佐藤 後進を育てる教育という観点で考えると、わかりやすいかもしれません。装いを生み出すファッションデザイナー、車の形などを考えるカーデザイナー、生活空間にはインテリアデザイナーや照明デザイナーといったように、それぞれに専門のデザイナーがいます。たとえば照明器具を作ろうと思えば、ライトの形や色だけではなく、角度によって光がどう拡散するか、あるいは素材についても精通していなければなりません。カーデザイナーであれば、走行中の空気の流れや車が受ける抵抗なども考慮しなければなりません。機能性のある実用品として成立させるためには、それぞれのジャンルで、研究によって裏付けされた確かな知識に基づくものでなければならないんです。