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ロボティクス

RoBoHoN(ロボホン)を使ってみました!

高橋智隆さんとシャープ株式会社が共同で開発し、2006年5月下旬に発売されたヒューマノイド型ロボット。電話やメール、写真撮影や検索などスマートフォンとしての機能はもちろん、GPSも搭載しており、現在地に合わせていろんな情報を与えてくれる。専用のアプリを使うと一緒に料理を作れたり、タクシーの配車まで行う。音声による対話が可能で、歌やダンスで楽しませてくれるほか、顔の認証もでき、家族や友だちも覚えてしまうというからすごい。高橋さんがご自身のスマホからロボホンに電話をかけてくれた。「持っている」というより「一緒にいる」というのが正しい表現だ。

  • 高橋さんの呼びかけでロボホンが始動。さて電話のほかに何ができるのかな?

  • もちろんスマートフォンとしての機能も備わっている。額部分に内蔵された小型カメラでは撮影も可能。

  • おもむろに腰をかがめたロボホン。すると、テーブルの天板をスクリーンに見立て、撮影した私の姿をプロジェクターとして映し出した。

  • 全長は約19㎝とかわいらしいサイズ感のロボホン。色調は白と黒の無彩色だが、機能はとても多彩だ。

アメリカのシリコンバレーあたりからムーブメントが起こってきたことが大きいと思います。しかし今のところ、身近なロボットと言えば、まだ掃除ロボットの「ルンバ」くらいしかありません。

以前、ソニーが犬型ロボット「アイボ」を作り、大きな話題となるも、やがて生産中止、そしてサポート中止となりました。しかし、あの時代のロボットブームがきっかけでロボットの道に進んだ開発者も多くいます。

アイボはとてつもなくクオリティが高かったため、それを超える製品を作ることは極めて困難でした。なので、その「幻影」に悩まされ、その後10年間、ロボット関連商品はどれも失敗し、冬の時代を迎えるのです。そこからようやく抜け出したのが2013年にデアゴスティーニ社から発売された「週刊ロビ」です。全70巻の雑誌は毎号付属の部品を組み立てるロボットキットで、音声認識による対話によって、二足歩行や起き上がり、ダンスなど様々な動作が可能です。累計で15万台程を売り上げ、二足歩行ロボットとして最も成功した商品となりました。その商業的成功は、その後多くのコミュニケーションロボット開発のきっかけとなりました。

コミュニケーションロボット開発において、ひとつのベンチマークとなるのが、世界中で最も普及しているコミュニケーションツールであるスマートフォンです。しかしその進化や売り上げが頭打ちになってきました。スマホは既に完成の域に達していて、このままでは液晶テレビやパソコンなどと同じ、すっかり儲からない製品になってしまいます。その唯一の欠点が、高性能ながらも日常生活で使われていない音声認識機能です。我々はペットにも喋り掛けるのに、スマホには喋らない。それは無機質な四角い箱に命を感じないからです。そこで、「スマホの次」は人型ロボット端末になると考えました。そのアイデアに最も賛同してくれたのがシャープで、3年間の開発を経て、2016年5月に「ロボホン」を発売しました。

高橋さんがロボホンの電源をオンにすると、「やっとしゃべれるようになった」と元気な声が飛び出してくる。「おはよう」とこちらから声をかけると、あいさつと現在の日時、周辺の天気情報が返ってくる。スムーズで愛らしい動きに、思わず頭を撫でてしまった。

ロボホンはロボットであると同時にスマホです。通話・メール・検索・地図・写真撮影・アプリ追加などスマホとして使えます。音声操作の他に、背面の液晶画面でタッチ操作もできます。我々の暮らしに十分溶け込んでいて、使い方が理解されているスマホの延長としてロボットを売り出したことに大きな意味があります。それによって、ロボット専門店に足を運ぶこと、マニア向けのロボットを組み立ててプログラミングすること、暮らしの中でロボットを使いこなすこと、という障壁を回避することができるのです。

ロボホンのおでこには超小型のレーザープロジェクターが付いていて、動画を投影してみたり、ボードゲームで対戦したりできます。また、持ち主の名前・生年月日・顔・声・居住地・好物から好きな芸能人まで、様々な情報を覚えていきます。それを活用して、例えば好みに応じたレストランの検索をしてくれます。こうしたアプリが増え続けているので、ゆくゆくはロボホンが子どもたちの勉強を手助けしてくれる日が来るかもしれませんよ(笑)。