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私学の食生活

 

食育の、カタチ
私立中高一貫校の食育活動あれこれ

「食」について知り行動することは、自らの健康な生活を支えるだけでなく、安全で安心できる社会を作ることや環境問題を考えることにもつながってゆく。

「食育」という言葉は造語で、明治時代の医師・石塚左玄が『通俗食物養生法』という書物の中で、「体育・智育・才育は即ち食育なり」と述べていることに始まる。現在のマクロビオティックや有機農法などの基となる考え方が著されている。

学校で「食」といえば、やはりランチタイムだろう。いうまでもなく、お弁当には心身の健康と健全な成長を願う家族の愛情がたっぷりと込められている。給食制を採用している中学では毎日栄養に偏りのない食事が提供され、季節感や伝統的な行事にちなんだ演出や、ふだん食べ慣れない食材を使うなどメニューにも一工夫がある。また、学食では栄養バランスについての掲示をしたり、テーブルの上にちょっとしたメッセージを置いたりと、食に関する意識を向上させる取り組みもなされている。

授業では「家庭科」が中心となるが、一汁三菜というベーシックな和食から、中華やイタリアンといった洋食にデザート、あるいは地域に根ざした伝統的な郷土料理など、さまざまな料理を調理実習の時間に作る。また、自らの手で弁当を作ってみるといったユニークな取り組みも多い。調理師や料理研究家、管理栄養士として活躍する、卒業生の講演会や実習の機会もある。食生活は健康と直接結びつくものだけに、教科の枠を越えて連携しているようだ。

ダイエットに敏感な女子生徒たちだが、「ホームルーム」や「道徳」の時間を活用して、思春期の身体や栄養バランスのとれた食事の大切さを伝える機会も多いという。

「総合的な学習の時間」を使って、フィールドワークに出かけるケースも。地元の食品メーカーに出向いて食材加工の現場を体験したり、稲作実習をはじめ農作物の栽培を行ったりする学校もある。

行事の面でいえば、第一次産業を中心とした本物の体験も私学には多い。農家の仕事を実際に体験するファームステイや地引網などの漁業体験、「社会科」と連携して生産と流通の仕組みを知る機会などもある。テーブルマナー講習のように、高級ホテルやレストランで一流のフランス料理を味わうというエレガントな行事も。

食に関する実体験というのは、鮮烈なインパクトを受け記憶に残るという。私学にキャンプ活動が多いのも、飯盒炊さんなどを通じて食の原点を見つめ、感謝の気持ちそのものを育む機会となるからだ。