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博物学

私学コレクション2 同志社
「伝統校ならではの剝製類」
博物学の殿堂と言えば、やっぱりココ!

 中央アジアや東南アジアに生息する「フタコブラクダ」。背中のコブには、水分やエネルギーに変換するための脂肪が蓄えられている

 同志社中学校のパンフレットやポスターで、巨大なカバの剥製を見たことはありませんか。校内にはまだまだたくさんの不思議があふれています。中学生たちが使う「想遠館」の一階最奥にあるのが理科メディアスペース(MS) で、ここには「標本館」のコレクションの一部が展示されています。この場所のコンセプトは、なんと「豊穣なる混沌(カオス)」なんだとか。

 「標本館」は、同志社小学校の体育館に付属する施設で、ここには動物(哺乳類・爬虫類・両生類・魚類・貝類)の剥製・骨格標本が整然と並べられ、保管されています。収蔵点数は何と約8千点。その中には絶滅種や絶滅危惧種も多数あります。天然記念物に指定されている「トキ」や「コウノトリ」、「アマミノクロウサギ」のほか、外国のものでは飛べない鳥として知られる「キウイ」や有袋類の「カモノハシ」、大型のものでは「シマウマ」「ホッキョクグマ」「ダチョウ」「ヒョウ」など、圧巻の一言。

 これら稀少かつ貴重なコレクションを収集したのが、博物学への造詣が深かった元同志社大学教授の加藤延年先生(1866~1945)。同志社に自然史系の博物館を設立することを志した先生は、母校である同志社普通学校を始め、女学校、高等商業学校、大学予科と、明治32年から約40年にわたりオール同志社で教鞭をとられました。貴重な収蔵品の数々は現在も「加藤コレクション」と呼ばれています。

 「標本館」の収蔵品約8千点のうち、約6千点は貝類で、これらは現在、同志社高校の理科館「万象館」にあります。

 中学校の生徒たちは、中ー「理科」の授業で生物分野を学ぶ折、この「標本館」を利用して研究活動を行い、3学期にはその成果を発表する場が与えられています。またサイエンス部など理科系クラブがここで学ぶこともあり、彼らの研究レポートは、理科メティアスペースに展示されていますから、ぜひ手に取って読んでみてほしいと思います。

 創立時よりリベラルアーツ教育を標榜してきた同校は、2014年から新たな学びのかたちとしてオリジナルの「学びプロジェクト」をスタートし、その質の高さやユニークさは、全国の中等教育を見まわしても圧倒的で群を抜いています。ぜひ、ホームページでワクワク感がいっぱいの取り組みの数々を確かめてみてください。

 「学校は博物館」と言い切る同校の潔さには胸をうたれる思いがします。悠久の歴史に思いをはせ、生命誌を体感することのできる唯一無二の空間が、ここ同志社にはあるのですから。

理科メディアスペースはまさに生物多様性のワンダーランド!

教科センタ一方式を採用する同校では、各教科教室に隣接してメディアスペース(MS)が併設されていて、学びの仕掛けがいっぱい。オープンキャンパスの時にここを見て、第一志望校に決めた子どもたちもこれまでに大勢います。ここには、「標本館」の所蔵品の一部である、カバや水牛、ラクダといった大型剥製や馬の全身骨格標本を始め、ホルマリン漬けにされた数多くの標本類、岩石などが並べられています。剥製は湿気など気候の変化にも影響されるので、必要に応じて専門の職人によって修復されています。

この日、理科メディアスペースを案内してくれたのは、Zoomを活用した小学生対象の数学オンライン講座を終えたばかりの園田毅先生(入試広報担当)。「天井を見てください。これは太陽を直径1cmとした場合に、太陽系惑星がどれくらいの距離にあるかを表しているんです。小惑星『イトカワ』や『リュウグウ』の探査がまだまだ太陽系では地球のすぐ近くに過ぎないことに生徒たちは驚いています」