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シュタイナーが提唱する「12感覚」

PICKUP 1 想いを形にする教育「美術」で殻を打ち破れ

大学附属校には、そのメリットを活かした特色あるカリキュラムが用意されている。立命館には、一人ひとりが自らの未来を創り出していく気風が根付いており、生徒たちは将来を見据えたコース選択や講座選択ができる。また、学生主体で行われる生徒会活動、ボランティア活動も好評を得ている。2014年に長岡京に移転した新キャンパスは、3層吹き抜けのアトリウムや専門書を揃えるメディアセンターなどを有し、生徒の感性や探究心を刺激する。

「美術」科目にしかない教育とはなにか

美術科教諭
米永忠裕先生

 立命館大学への内部進学はもちろんのこと、難関国公立大学や医学部への進学をも実現させている立命館中・高。同校が、伝統と定評のある芸術教育を併せ持つことをご存知でしょうか。今回はその中でも特に「美術」教育について、美術科教諭の米永忠裕先生にお話を伺いました。
「中学1年生の美術では、まず手始めに使用する鉛筆を自らナイフで削るところから始まります。両手を使って物を切るという基本の動作です。最近は道具をうまく使えない子が増えているように思います。
 私がつくづく思うことは、美術という教科でなければできない教育がある、ということです。自分の気持ちを表現する、思っていることを前に出してそれを形にするという作業は、教科の中でも美術にしかありません。それも人それぞれ、その子その子で求めるものは異なります。教員として、その子なりの形を実現させてあげることが第一だと考えています。
 受験を経験してきた子は、答えに〇か×かを求めてしまう傾向があり、逐一承認してあげないと前に進めない子もいます。こちらが「あり得ないけどこうしてみたら?」と言っても、応じる子が少ないと言いますか。芸術には正解がありませんから、美術の授業で思い切って枠をはみ出してみたり、殻を打ち破って欲しいと思います。〝こんなこともやって良いんだ!〞と気付いてほしいですね。」
 感受性が豊かな時期には、何気ない生活体験や自然体験は、大変貴重なものとなります。情報化社会の中、他者と直接関わり、自然と触れ合う機会は乏しいと言わざるを得ず、その機会を得るためには、親や教師の関わり方が非常に大きいことは言うまでもありません。  「生徒たちには、自身でたくさん経験し、試行錯誤して欲しいと願っています。誰にも止められること無く大胆に、たとえ失敗してもリセットできる、そういう経験は人間力形成だけでなく、受験にもメリットとして直結してきます。
 授業は、段階的に進んでいきます。中学1年では鉛筆削りに始まり、ポスター製作、中学2年では〝自分〞がテーマに、そして中学3年では〝他者との関わり〞。高校では油絵、陶芸、ステンドグラス、木彫など立体作品や大きな作品に挑戦していきます。希望や不安、本音と建前、虚勢、悩みなど様々な感情が入り混じる10代、この時期ならではの作品は、非常に興味深く、面白いです。」
 課題の提示はしても選択は生徒自身。建学の精神でもある「自由と清新」は同校の学びの随所に見られます。生徒が自由に挑戦する姿を、先生方は時に導き、時に見守っているのです。

 
高校2年生の1学期のテーマ“動き”の作品。タイトルは「進歩と時間」。人の進化を、螺旋状の時間の経過とともに表現している。美術の作品の中には、合唱コンクールのポスターなど、作品制作を学内の行事とリンクさせ、校内で展示するものもある。それにより、生徒のみならず保護者にも鑑賞の機会がもたれている。また、優秀作品は私学展に出品されるなど、作品作りの励みとなっている。
 膨大な作業時間が必要となる作品作り。挑戦する心を賞賛したい
中学2年生のクラスで行われていた“虫ピンレリーフ”の授業。自分が好きなものを虫ピンで立体的に表現する。作品の大きさも自由だ。小さい作品でも何百本というピンを打ち込む虫ピンレリーフにおいて、大きい作品に挑むことには覚悟を要するが、挑戦する子もいるというからあっぱれだ。