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君は国際社会の役に立てるか!?

私学ならではの国際交流・海外研修

様々なアプローチで世界に寄り添う私立中高一貫校。生徒は交流のなか多くの考えと共嗚、視野を広げ、想う未来に磨きをかける。そして半歩すつ、一歩すつ、本当の"グローバル"に近づこうとしている

立命館は毎年「R S G F (Rits Supe「Global Forum)」を開催する。2018年はインド、ネパール、タイ、力ナダ、フランスなど世界10ヵ国・地域から13校の生 徒約70名が来日。プレゼンテーション、デイスカッション、校外フィールドワークも織り交ぜた5日間は、過去最大規模の盛り上がりをみせた。これらは、すべて英語でのやりとり。同校には年間、約350名の留学生やゲストが国外から訪問する。世界との繋がりは日常だ。

「本気の英語、本物の留学」はすべて姉妹校と直接提携。大阪薫英女学院は29年間、決してエージェントを介さす4000名を超える生徒に本物の留学を達成させてきた。グローバル教育は、考えは違えども自己を失わす互いに表現することが原点。一年間のニュージーランド留学はホームステイをしながら現地校に通学。各国から集まる同世代と英語を学び世界を知る。須磨学園の世界一周も多様な背景をもった人たちと意思疎通を図ることが主眼。アジア(中2)・アメリカ(中3)・ヨーロッパ(高1)の研修旅行のメインは現地校との交流。同年代の生徒との交流から、日本を客観的にみることができ、英語カ・コミュニケーションカが強化され、自すとプレゼンテーションカも身につく。

臨済宗大本山妙心寺が運営する花園の「SGZ」コース。ここではVR デイスプレイ『zSpace (R)」を駆使し、数学や理科もネイテイブ教師が英語で授業を行う。仮想空間(VR)をリアルに感じられるシステムでパソコンに映し出された実物を直感的に操作。立体の投影や科学的実験からワクワク感を刺激し深い学びにつなげている。先端ICTとともに生徒は毎朝、坐禅を組む。視線は世界ランクトップ50位以内の海外大学を進路目標に捉える。

洛星は世界の一員として意識向上し、持続可能な発展を実現する「国連グローバル・コンパクト」の参加校。同校には学内選抜を必要とする海外研修制度が多い。研修に共通するキーワードの一つは「世界的視野」。高2の生徒20名ほどがアメリカ・ハーバード大学で行う「次世代リーダー養成プログラム」は事前研修で英語と日本語のプレゼンテーションを学び、アメリカでは大学の学生寮に寄宿。徹底した語学研修に特別プログラムとしてマサチューセッツ工科大学やィエズス会のボストンカレッジなどで学びの本質に触れる。ハーバードの食堂では地球視野の会話が響く。そこに国際社会という言葉はない。

  • 実施5年を数えた「RSGF」。大会内容、準備、ホスピタリティーも毎年、後輩に引き継がれブラッシュアップされてきた(立命館)

    伝統の長期留学は、一人ひとりの到達点と課顆を明確に出発(大阪英女学院)

  • 校舎の地下ある大理石製レリーフは高さ10m幅8m。刻まれるサン・ピエトロ大聖堂。生徒は日頃から世界を意識する(洛星)

●男子●女子校●共学校

創立131年の伝統をもつ親和が大切にする行事「追弔会」〜特集のあとがきにかえて〜

親和学園の校祖・友國晴子先生の祥月命日にあたる10月26日に毎年行われるのが「追弔会」(ついちょうえ)。校祖先生と今年度亡くなられた学園関係者および同窓会「汲温会」会員の供養を行うもので、生徒たちにとっては創立の理念をあらためて胸に刻む大切な行事となっている

撮影/岩井進


    • 式典は厳かな雰囲気の中で取り仕切られる(写真右)。追弔会で行われる斉唱は器楽部が演奏を担当(左)。上は、式典後に学年ことに行われた焼香の様子

追弔会の後、山根理事長を始め学園関係者が向かった先は、神戸市須磨区にある浄徳寺。友國晴子先生の墓前にお参りし次年度への決意が語られます

講堂に設けられた祭壇には供物が置かれ、その上には物故者の名が記された四本の掛軸、その両サイドには左に校祖・友國晴子先生の肖像画、そして右には「親和」と書かれた扁額があります。

午前9時半、追弔会が始まりました。「校祖記念日の歌」を斉唱した後、汲温会副会長による「献花」、生徒学生代表による「献観」、大学の同窓会「すすらん会」による「献茶」が行われました。さらに、須磨浄徳寺住職による「莫供」に続き、山根耕平理事長によって「祭文」が読み上げられます。

物故者95名の名が語られると、臨席する生徒たちの面持ちも凛と引き締まります。明治維新時には10歳だったという友國先生。傑出した女性教育者が綺羅星のことく登場した時代背景を踏まえながら、山根先生は校祖の教育に対する歩みを語ります。女子教育の必要性がまだ認められていなかった時代、親和学園の再興時にはわすか二人の生徒でしたが、五年後には百名もの生徒が集まりました。幾多の危機を乗り越スて学園が発展する過程には、友國先生の教育に対する強い意志、学びに向き合う生徒たちへの熱い情があったと言います。さらに、開校当時から英語の授業が外国人教師によって行なわれていたという、先見の明についても山根先生は語られました。

この後、「校祖追悼の歌」斉唱、住職による「読経」と学園関係者の「焼香」、「追弔会の歌」斉唱、学園常務理事の挨拶によって式典そのものは終了しますが、実はこの後、学年ごとに生徒たちによる焼香が行われました。大学入試を控える高校三年生、入学から半年が週ぎ学校生活になじんできた中学一年生の合掌する姿は、とりわけ印象的でした。

今号の特集は「グローバル教育」。親和学園の校史をひもとくと、そのルーツは130年以上も前に遡ります。明治期に開港された神戸の地にあって、創設時より外国の異文化を理解し受け入れる土壌がありました。文明開化の音がするとともに、親和学園を含む私学の教育は寛容と進取の気風を持って行われてきたのです。