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示された選択肢から、生徒自らが選ぶ未来へのバックアップは惜しまない
全国有数の進学校へと躍進を遂げた西大和学園中学・高等学校。同校の岡田清弘学園長は数学科教諭や寮長等を経て2019年より学園長に就任、2025年からは校長職も兼任されています。今回、日能研関西・小松原健裕代表と日能研天王寺校・種谷洋佑室長が学校を訪問し、同校がめざす教育等について岡田清弘先生にお話を伺いました。
全教員と全生徒が全力で前進してきた結果
学園長・校長 岡田清弘先生
小松原 開校から約40年、これまでを振り返られていかがですか。
岡田 本校の創始者は全くのゼロからこの学校をスタートさせました。開校当時、本校は「進学校」へと目標を定め、とにかくそれを極めることにしたんです。教職員の意識を生徒ファーストへと改革し、保護者の信頼を得ていくことで、生徒・保護者・教職員が三位一体となり大学合格実績を積み重ねてまいりました。それが少しずつ実を結び、数十人の東大合格者が出てきたある時、生徒たちに勉強させるだけでなく将来の夢を与えることに力を入れようと学校として方向転換が行われました。「未来の世界のために、大きな夢を持つ生徒がもっと増えても良い。頭脳明晰な子どもたちに、関西だけではない幅広い選択肢を見せるべきだ」と思ったのです。取り組みとしては「こんな世界もあるんだよ」と一流のトップランナーを連れて来てその生き様を見せたり、東京大学での特別講義を受けさせたりもしました。そうして生徒たちに未来を見せ、刺激を与えることで視野を広げさせたところ、目指す道はハーバードだ、中国の清華大学だと言い出す生徒が出てきたのです。学校側も子どもたちが願うままに世界で活躍するにはどうすべきかという観点から、起業家マインドを育てる「アントレプレナーシップ教育」を開始し、そしてスーパーサイエンスハイスクール(SSH)やスーパーグローバルハイスクール(SGH)、アメリカでのグローバルリーダー研修や模擬国連等へと取り組みを拡げてきました。
小松原 保護者が持つ世界以上を学校が見せてくれることは、非常にありがたいことですね。世界を見せ、選択肢を与えれば、叶える力は生徒自身が持っているのだと感動しました。
岡田 「学校として、選択肢はできる限り用意する。選ぶのは君たちだ。選んだことに対するバックアップは惜しまない」これが西大和学園の教育です。
小松原 2015年には京都大学合格者数日本一も実現されましたね。東京大学においても、そもそも「関西にある学校が多数の東大合格者を輩出する」その発想を持つ学校自体が稀でした。 種谷 なかなか踏み出せないことを成し遂げておられて、学校の情熱を感じます。その原動力はどこから来るものでしょうか。
岡田 「宣言し、やり抜くこと」が大切です。過去に本校が「3年後に東大50人!」と言った時には笑う人もいたかもしれませんが、絵空事にせずに全教員と全生徒が全力で前進したことで成し遂げられたのだと思っています。
小松原 今後はどのような学校にしたいと考えておられますか。
岡田 生徒が学びを心から楽しめる学校。そして、世の中や社会から求められるリーダーを輩出する学校にしたいですね。校内での生徒たちを見ると、彼らの将来にワクワクします。昨今、本校を第一志望として入学してきてくれる子が増えたことも、学校の成長にとって大きなポイントです。現在の方向性のままブラッシュアップさせていき、いつの日か関西でトップと言われる学校にしたい。有言実行の姿勢で取り組んでまいります。
学園長・校長 岡田清弘先生
文部科学省指定「SSH」「SGH」指定校の実績を活かし、地球規模の課題に挑戦するビジネスリーダーを育成する西大和学園
生徒の未来が楽しみでたまらないと語る学園長の岡田先生
LESSONS男女授業別学、ハイレベルな取り組み、独自教材など、未来のグローバルリーダーを育成する自発的学びがここにある
同校では男女の成長差を配慮し、中学2年生まで(2025年度実績)は男女別学、行事やクラブは共に活動する、いわばイイトコドリの教育スタイルがとられている。自発的な学びを促していることも同校教育の特徴だ。同校は2002年度から16年という期間において文部科学省指定であるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けてきた。2014年に同省より指定を受けた「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」をさらに進化させた「アクションイノベーションプログラム(AIP)」では各業界先駆者たちの話を聞き刺激を受け、模擬国連でのディベート、留学など行動し自己を確立。世界で活躍できるイノベーション創発人材を育成している。
「なぜ英語を学ぶのか」ネイティブによるパワフルな授業はモチベーションをもアップさせる
中学時、ネイティブ教員と日本人教員で授業を展開する「英会話+探究=GCP(グローバルコンピテンスプログラム)」では、国際理解を深め世界における役割を考える。高2・英語(山下先生・写真下)の授業でも発音の法則について学ぶなど、英語聴き取りの成果は着実に上がっていく。
高2・数学(授業担当:岡先生)では、理系生徒のための大学演習プリントを用いての受験対策が行われていた。ベクトル学習に欠かせない内積について高レベルな説明がなされる。難しい内容でもベテラン岡先生のなんとも楽しそうな解説に、生徒たちは時に笑い、時に真剣に授業に聞き入っている。
中学2年次より、通常授業より一歩進んだ「スーパー英語・数学講座」も実施。外部講師とも連携したハイレベルの講座となっている。
中3・化学基礎(授業担当:松本先生)では酸化数のルールについて説明され「これができないと定期考査では1点も取れないぞー」と喝が入れられる。難問に回答できた男子生徒に「天才現る!」と教室全体がどよめく場面も。
円の方程式について学ぶ中3・数学(授業担当:村本先生)の授業。同校では「東大に行きたい子がいるならば、東大に行ける授業を展開する」ため、授業の質や教員レベルを向上させる研修も頻繁に行われている。