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1875(明治8)年、新島襄と宣教師デイヴィス、山本覚馬そして8名の生徒によって始まった同志社英学校が、同志社中学校のルーツにあたる。「良心教育」を建学の精神に掲げ、「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」の3つを教育理念として「良心を手腕に運用する人物の養成」をめざす姿勢は、創立から150年経った現在においても決して変わることはない。もちろん、中学校生活においても「自由・自治・自立」の精神が貫かれており、生徒会を中心とした自治活動も活発で、制服はなく、生徒たちは主体性が尊重される風土で伸びやかに学び、知的好奇心と探究心であふれた校風に満ちている。
撮影/岩井 進 取材・文/橘 雅康(N-cube編集長)
ワールド・ワイドな視点で生み出される発想力と行動力
同志社中・高副校長
竹山幸男先生
同校の魅力と言えば、やはり自由な校風と充実した教育環境。伝統を継承した赤煉瓦の校舎の中で行われる、最新のデジタル・ツールとこれまでの良質な教具・教材との両方を駆使した独自の教育スタイルは唯一無二です。同志社の教育を称して語られる「自由・自治・自立」という言葉に込められたものとは何か、副校長の竹山幸男先生に伺いました。
「私立中学校の教育というのはとても多様です。多くの学校の中から自分に合った学校を、中学受験を通じて自ら選択できるというところに大きな意味と価値があります。学校の校風が様々だから良いのであって、同志社の教育というのは、できる限り『枠や形式に縛られない』柔軟な思考を育む学び舎でありたいと常々思っています。そういう学校があっても魅力的でしょう(笑)。いろいろな課題に直面する現代社会では、物事をブレイクスルーできる力が求められます。前例にとらわれることのない自由で豊かな発想、自発的な考えができる人へと成長してほしいですから、中学校でのプログラムの中には生徒たちがワクワクし、自ら楽しみながら取り組める学びがたくさんあります。
世の中というのは、とかく表面的・外形的なもので判断され評価される傾向にありますが、見えないところにあるものの価値、一人ひとりの無限の可能性に気づけるかどうか、これを特に大切にしているのがキリスト教主義に基づく同志社教育の真髄です。」
中高6カ年での幅広い学びを経た後に、同志社大学に進めるのも同校の大きなメリットです。例年、高等学校卒業生(約360名)の約85%が内部進学推薦制度により、同志社大学・同志社女子大学に進学し、約15%の生徒が他大学へ受験進学しています。(京都大学2名、慶応義塾大学7名など[2024年度実績より])
同志社大学には全学共通の教養科目が多彩にあります。中でも「クリエイティブジャパン」と呼ばれる科目では、日本文化の魅力やグローバルに受容される価値について、京都から世界へと広がる視野を醸成することが目的とされています。その素養としての芽は、確実に同志社中学校でのリベラルアーツ教育の中で培われています。今回の誌面を通じて、ぜひ同校の学びの豊かさを確かめてみてください。
各教科ゾーンには教室と隣接してメディアスペース(MS)が設けられており、教科に関する展示や生徒たちの研究成果など、内容はまるで科学館のように多彩だ。
同志社大学の今出川キャンパス(写真右)は京都御所の北側に位置し、クラーク記念館をはじめ5つの重要文化財など赤煉瓦の校舎群が古都の風情に調和したアカデミックな町並みを作り出している。中学校は2010(平成22)年に創立の地を離れ、小学校と高等学校のある新キャンパスに移転した。京都駅からわずか20分の、京都市営地下鉄「国際会館駅」から地上に上がると、目の前に同志社のグラウンドが広がり、その背景に壮大な比叡の山々が連なっている。