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撮影/川勝 幸 取材・文/丸川悦子

1899(明治32)年に設立された顕道女学院を前身とする京都女子中学・高等学校。創始者・甲斐和里子先生は仏教的精神による高い教養と品性を併せ持つ女性の育成に努められ、その精神は現代における同校女子教育の根底にある。伝統を重んじながらも先進的な教育にも取り組む同校では、2025年に新校舎での学びがスタート。融合から新たな調和が生まれる学び舎で「これからを生きる」女性の育成は続く。

開かれた教育が個性を育み自己有用感を高める

校長 林 信康先生

 新しい校舎「飛翔館」が完成しました。「時代に即した校舎づくり」をコンセプトに、自然の光と風を積極的に取り入れるなど健康に配慮した仕組みを導入しています。なかでも際立つ特徴は「オープンライブラリ―」です。図書室は設けず、校舎内の随所に書籍を散りばめています。いつでも本が手に取れる場所にあるこの環境を生かし、生徒たちがより本に親しみ、さらに教養を深めてくれたらと願っています。また、「円居(まどい)」と呼ばれる広い廊下では生徒同士の語らい、生徒と先生の談話や指導する姿が見られ、大きな窓が設置された各教室では明るい空間での〝開かれた教育〟が実現されています。生徒たちはこの新校舎完成をとても喜び、「飛翔館」にはいつも生徒たちの明るい笑い声がこだましています。
 ソフト面においても2022年度に従来のコース・類型を見直し、探究の学びを重視した特色ある3つの東雲・藤華・顕道コースをスタートさせました。基礎学力定着から大学入試を意識した高レベルな授業と「知りたい」を深める探究活動を絡め、生徒が持つ可能性を拡げていきます。「個別最適な学び」と「協働的な学び」の調和による主体的な深い学びをもって、本校では時代の流れに対応できる資質能力をもった生徒を育てていきたいと考えています。
 この先どれだけAIが進化しようとも、人間としてどう対峙していくかが重要です。本校は建学の精神である親鸞聖人の教えを基調とした教育理念「自立・共生・感謝」を指針とした教育活動を行い、125年にわたり心豊かな女性を育成してきました。自分を越えた存在のなかで自己を見つめ、女子校という環境のなかでありのままの自分を出すことでお互いの存在を認め合い自己肯定感は高まります。そして、同じいのちをもつ誰かの役に立ちたいと思える自己有用感が育まれ、思いやりや感謝の心をもって、平和な世界に貢献できる人へとなっていきます。ぜひ、本校で自分の居場所を見つけ、明るい学生生活を過ごし、未来社会を切り拓いていってほしいと願っています。
 本校は数多くの行事をとても大切にしている学校です。毎年秋には文化祭や体育祭が行われています。文化祭は発想豊かに、オリジナル劇やコーラスを生徒自身が創りあげる教養的な行事に。体育祭は全校生徒が最も活気にあふれる日です。これから入学を検討される皆さんは、オープンスクールや見学会などの機会にでも、ぜひ本校の雰囲気を感じてみてください。仲間とともに成長できる環境が整う京女で、ともに学びましょう。

SPIRITS親鸞聖人の教えを基調とした3つの教育理念「自立・共生・感謝」

京都女子では中高6年間を通して朝の礼拝、宗教の授業があり、花まつりや降誕会など年間を通じて多くの仏教的行事が行われている。3つの教育理念「自立」「共生」「感謝」という心の教育を指針としてすべての教育活動が行われており、いのちの尊厳と平等にめざめ、感謝の思いでともに協働して社会の実現を目指す心豊かな人間力を備えた女性を育成する。


  • 仏教讃歌や講話を聴く
    「礼拝」で自己を見つめる


  • 「宗教教育の必要性を感じ、これからの日本の女性における地位の向上には、高い教養、そして豊かな心が必要である」という同校創始者の高いグローバル意識は、125年を経た現在も同校に脈々と息づいている。

LOCATION & FACILITIES2025年完成の新校舎「飛翔館」中心にあるエスカリエ
(大階段)。居心地よく、心が解き放たれる

生徒たちのお気に入りの場所、居場所がふんだんに用意されている新校舎。「この場所で過ごしたい」「ここで学びたい」環境は生徒の肯定感、意欲を引き出す重要な要素であることがわかる。

6学年収容可能な新校舎の中央には、圧巻の大階段。3階までの吹き抜け空間を取り囲むように1階には実験室などの特別教室、2・3階には一般教室を配置。トップライトからの自然採光など省エネが意識された設計により明るく開放感のある空間が創出され、快適な学習環境を実現している。


  • 生徒が自然と集まる「円居」では、教師との団らんや生徒同士で楽しく過ごす光景が日常茶飯事。明るく開放的な空間に明るい笑い声が響き、絆は深まる。


  • TOPIC 風情ある通学路 東山通から同校~京都女子大学まで続く長い坂、通称「おんな坂」。豊臣秀吉・豊国廟の参道でもあるこの坂を通り徒歩通学生は通学する。

OPEN LIBRARYわざわざ図書室に行かずとも日常的に生徒が本と出会える環境

蔵書約7万冊が校舎各所へ分散設置され、日常的に本と出会い、読書習慣のない生徒も自然に本へと手が伸びる環境になっている。随時、新刊が蔵書され、思いがけず手に取った一冊は生徒らの新たな関心の芽を育て、生徒の世界を拡げる。図書の貸出しは最新のICタグを活用し、簡単に貸出処理が完了する仕組みとなっているほか、借りた本を記録できる通帳「ブックル」も活用可能。


  • 特別教室の入り口には教室の用途を示すピクトグラムを設置。デザイン制作を希望する中高生有志約20人が取り組み、完成させた。


  • 明るく清潔感のあるパウダールームは、同時に15人が使用可能。生徒同士のコミュニケーションの場にもなっている

SELF STUDY京女オリジナル自習室「セルスタ」19時40分まで校内で自習可能。
質問と解説で理解度は高まる

セルスタではチューター5~6人が常時待機し、個人に応じた学習アドバイスや、質問対応による学習支援が行われている。利用時間は平日15時30分~ 19時40分まで。利用は無料、休日も利用可能。自学自習の習慣づけと学習時間の確保ができるのが嬉しいと多くの生徒が利用している。

2028年まで新校舎完成大改革が着々と進行中!

京都女子学園全体で総合的なキャンパス整備計画が進められており、その一環として築50年以上が経過して老朽化が進んだ中高校舎の整備が実施されている。2020年にスタートした中高の新校舎建設計画では、第1校舎「飛翔館」が2025年3月に完成。2027年には体育館、講堂、カフェテリアを備えた第2校舎、2028年のグラウンド完成をもって整備プロジェクトは完了する。人とのつながりを大切にする同校では、生徒が自然と集まるような場所をつくりたいという構想をもって建築が進められてきた。在校生らも一連の完成を心待ちにして学生生活を過ごしている。

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