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取材・文/丸川悦子(本誌編集部) 撮影/酒井元也
取材同行/森永直樹(進学情報室長)、久保川 剛(日能研川西校室長)
ここ数年における箕面自由学園の難関大学合格実績の伸びには目を見張るものがある。2025年春の入試結果では、5年前の2020年と比べて国公立大学合格数が194に増え、関関同立合格数も141が463と3倍以上の結果を出している。入学定員が決して多いとは言えない同校でのこの躍進は、果たしてどこから来るのか。学業のみならず、チアリーダー部や吹奏楽部などの強豪クラブも輝きを放ち、幼・小・中・高が同敷地内に立地するがゆえのアットホームな雰囲気が校内にある。同校の魅力に迫ってみよう。
学力伸長の土壌をつくる『教育は人』共に切磋琢磨
校長 田中良樹先生
本校の校長に着任したおよそ年前、私は「生徒の能力をしっかり伸ばす学校にしよう」、そう決意しました。生徒の能力を伸ばす前段階に必要なものは「自律」です。自身で判断し行動できる能力が備わっていれば、自ずと学力は上がっていくと考えています。そのためにまず私は、先生方の鍛錬に取り組みました。私の信念を伝え、異業種交流を実施し、私を含め先生方同士で様々な議論も重ねることによって、指導を行う側の思考や知識の幅を広げてきました。その結果、先生方の間で一体感が生まれ、「一丸となって生徒を育てていこう」という風土が本校に根付いていったのです。
例えば、本校では教員と生徒の面談を一人につき年間回ほど行います。大学の偏差値から進路を決めるのではなく、その子がどう生きたいか、その目標のためには海外の大学まで視野に入れるべきかなど、その子の価値観や考え方、プロセスすべてを教員が語れるほど面談を行っています。本校には海外大学を卒業した教員が2名在籍していますし、生徒対応がひとりの教員の手に余る場合には他の教員の知恵を借り、先生方同士も高め合っています。昨今では高校卒業の出口まで経験を積んだ教員が中学生の指導に戻り、中学時点で身に付けるべきことを熟知した教員が生徒に向き合っています。生徒の「自律」が促され学校全体がレベルアップした結果が、昨今の難関大学合格率の伸びにつながっているのだと実感しています。
人の可能性は「他者との関わり」によって引き出されます。『教育は人』を実行する本校で、あなたが願う未来を実現させてください。
LESSONS高校・デザインタイムで個々の実力をさらに伸ばす
高等学校ではすべてのコースで放課後を「デザインタイム」として設定。さまざまなメニューの中から生徒それぞれの目標によって選択してチャレンジする。クラブ活動への参加に充てる生徒もいる。実施例は以下の通り。〈English4技能〉英検対策講座、耳トレ、オンライン英会話、 AUTHENTIC ENGLISH〈学力向上〉各種受験対策講座、最難関数学道場など〈教養&探究活動〉ビブリオバトル、書道、金融教育プログラム、スマイルギフトプロジェクト(地域課題解決)など。
教壇ギリギリの位置で先生の説明を聞き逃さないよう集中する生徒たち 高3「数学」(担当:黒田先生)
志望大学合格を果たした卒業生が寄贈してくれた、縁起の良い赤本たち。先輩に続く後輩たちにより、激励の赤本たちは増え続けていくことだろう。
年2回、校長が各教室に出向き話をする校長講話。成長の土壌となる心の持ちようなどが話される。校長自らによって記される感想文への熱いコメントが、生徒の根底にある意識を変化させていく。
2025年4月、中学で「理数探究コースS」始動!
興味と目標に合わせて選択する「理数探究コースS」「理数探究」「文理探究」の3コース設定
中学3コースそれぞれは狙いと目標を持つ。〈理数探究コースS〉理数探究コースの狙いに加え、自ら学ぶ学習力を高め、高い学力育成へと結びつけることを重視する。〈理数探究コース〉理数的な学びをとおして課題発見力や論理的思考力を身につけることを重視する。〈文理探究コース〉高い発信力を身につけたグローバルに活躍できる文理融合人材の育成を目標に表現力を重視する。学年進級時にはコース入れ替えも可能。高校進学時には特進3コ ースと文理探究コース、クラブ探究コースを選択し、特進3コース内は進級時の入れ替えも可能となっている。
中1理科(担当:山田先生)。「身の回りの植物や生物を挙げてみよう!」という先生の言葉を受け、次から次へと発言する生徒たち。授業は楽しくにぎやかに進行し、生徒たちにはまだあどけなさが残る。
高1「英語」(担当:大崎先生)。ラジオの英会話テキストを用い、会話文を互いに読み合う。発声は繰り返して身に付くもの。発音できる音は聴きとれる。
中2「Practical English[英会話]」(担当:ファロー先生・田嶌先生)では 「もし動物になれるとしたら何になる?その理由は?」の回答を英作文させ、時間を置かずに発表する。生徒たちの発表にファロー先生も笑顔で拍手!
数学は習熟度別授業実施
朝7時から学校は開いており、高校の授業スタートは9時。この朝の2時間を「朝活タイム」と呼び、朝練習、朝学習、朝読書など、学校は一人ひとりの目標に合わせて活用することを推奨している。また、中学校の数学では習熟度別の授業が行われ、効率良く高め合い希望の進学を叶える学力を確実に身に付けていく。
紀伊国屋書店に運営が委託されている図書室。3万冊の蔵書を誇る。毎月50~80冊の本が入れ替わり、時流を考慮した司書さんによるコーナーなど展示にも工夫が見られる。放課後には自習する生徒の姿も。
箕面自由学園には円形のオブジェテーブルが職員室内と職員室前の廊下に合計5つ置かれている。廊下では円形テーブルにて不明点を先生に質問する生徒の姿が多く見られ、自習スペースも設置されている。スタイリッシュなデザインの円形テーブルは複数人でも質問しやすく、ライト付きの屋根があるため集中力を増すのだとか。
TOPIC「教員寄れば文殊の知恵」
中3・高1合同職員室では教員の机が円状に配置され、生徒の話題が出やすく、早い問題解決につながっている。進路模索の学年だからこそ、教員らの活発な情報伝達、意見交流が功を奏している。