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撮影/岩井 進 取材・文/橘 雅康(本誌編集長) 同行/藤本智之(日能研関西・中国地区本部長)
戦後の混乱期、まだ原爆の痛みが残る1950(昭和25)年、広島市西区己斐の高台にナミュール・ノートルダム修道女会によって設立されたのが同校。岡山の清心中・高に次ぐ、二番目の中高一貫校となります。四季折々の自然あふれる環境と、修道女会創立者であるフランス人の聖ジュリー・ビリアート(マザージュリー)の精神を受け継いだ教育哲学のもとで、高い知性と品性があふれる教育が実践されています。学校生活の中には、深い思考を重ねる場面と多彩な表現活動が随所に見られます。その背景には、自らを着飾るのではなく、ありのままの姿でいられる校風があり、それが生徒たちそれぞれのキャラクターを輝かせているように思えます。明朗快活、生き生きとした生徒たちの様子に迫ります。
LOCATION & FACILITIES悠々と流れる太田川や広島市街を見渡せる、抜群のロケーションの中で過ごす中高6年間
高台にそびえる白亜の校舎と赤い屋根が同校の目印。生徒たちはJR山陽本線「西広島駅」、「広電西広島電停」から徒歩で学校へ向かう。正門から校舎へと続く登校路は「大根坂」と呼ばれ、健全な心身の鍛錬に一役買っている。2018(平成30)年に完成したノートルダムホールは、講堂・小聖堂・図書館のほかに大講義室3室と英語関連教室、進路指導室、和室が備わっている。講堂のエントランスにかけられたタペストリーもぜひ見てほしいポイント。
高い進学実績を誇る背景にあるものとは……
「私が教師になりたての頃、当時ノートルダム清心学園の理事長だった渡辺和子シスターから、『生徒たちは神様からいただいたタレント(素質)を持って本校に来ています。心の豊かさを育み、学力もしっかりと伸ばして、世の中の役に立つ人になるよう導いてください』という言葉をいただきました。カトリックの教えは聖書を読んで学ぶことも大切ですが、教師自身が醸し出すものだとも思っています。どのような立場になっても日々研鑽することを肝に銘じたいですね。」
生徒たちには、目に見えないものへの想像力や、不思議なもの・未知なるものに対する好奇心を持ってほしいと永山先生。同校は広島を代表する女子進学校として進路実績にも定評があります。2024年度の主な進学実績(※過年度生を含む)を見ると、国立大学は東北大2名、東工大1名、東京大1名、京都大3名、大阪大9名、神戸大5名、九州大8名、広島大17名。私立大学は慶応義塾大5名、早稲田大4名、上智大5名、東京理科大16名、明治大20名、同志社大49名、立命館大53名、関西学院大33名、関西大12名という実績。全校生徒の6割以上が理系を選択、医歯薬系志望が多いのが特長です。
「本校には歴代の校長が行ってきた伝統があって、登校時に遅刻した生徒は校長室に立ち寄って挨拶をし、印を押してもらってからでしか教室には行けません(笑)。担任や教科の先生になるともっと関わりは深く密なものになります。こうした教師と生徒との距離の近さが本校の大きな特長です。中学1年生には、本校の生活での目標を校長室に伝えに来るという宿題も出ているんですよ」と永山先生。
毎年同校のノートルダムホールで「音楽会・美術書道展」が開催されます。これは文化祭とは別に行われるもので、芸術教育が活発な同校ならではのイベント。講堂では学年ごとの合唱や音楽系クラブの演奏を中心とした音楽のステージ、隣接した大教室では美術・書道選択生の成果とクラブ生の作品発表が行われます。舞台の装飾や設営なども生徒たち自身の手で行われ、こうしたクリエイティブな活動が日々の学校生活の中に根付いているからこそ、地元だけでなく首都圏や関西圏などへの大学進学など、自ら選んだ進路を切り拓いていこうとする生徒たちが多いのでしょう。