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四天王寺
聖徳太子の「和」の精神が息づく全国有数の女子進学校
日本最古の官寺として知られる四天王寺は、和宗総本山として1400年以上の歴史を持つ。梵鐘の響く境内にある同校は、90年以上にわたって有為な人材を世に送り出してきた。今回は、国内で医学部医学科への進学者が最も多い私立女子校として時代をリードしてきた同校の魅力をレポート!

正門を入ってすぐ、慈母観音像の前は石畳みになっている。気づいた方はいるだろうか。よく見ると雲の意匠が施されている。これは東福寺の方丈庭園などで知られる著名な作庭家、重森三玲氏によるデザイン

中1「社会」の歴史。藤原四兄弟や橘諸兄の話から国分寺建立に関わる仏教に至るまで、様々なエピソードが好奇心をくすぐる

校長インタビュー四天王寺中・高がめざす教育とはどのようなものか

2014年4月から校長に就任した鳩山文雄先生は、1986(昭和)年に学校法人四天王寺学園に奉職し、四天王寺中・高の教員としても23年目を迎える。同校のこれまでの歩みとこれからについて伺った。
「聖徳太子様の説かれた『和の精神』を礎として、本校は93年歩んできました。穏やかで深い人間性を備えた、世界に貢献できる女性の育成は、本校が創立当初より掲げてきた教育理念です。中学では2014年4月より、「英数Ⅰ」「英数Ⅱ」の両コースに「医志コース」が加わりました。さらにこの4月から「文化・スポーツコース」もスタートします。生徒たちの夢や希望を実現することが本校の悲願ですから、様々な分野で生徒それぞれの能力を存分に伸ばし、大輪の花を咲かせてほしいですね。

中高6年間の中では、自由度の高いカリキュラム編成のもとで、大いに学び才能を伸ばしてほしいですね。多くの学びと体験によって見識を広げることが、後々の人生をより豊かにしてくれるだろうと信じています。そのためキャリア教育も大事にしています。たとえば、「進学のためのキャリア講座」は年間10回ほど実施し、大学の教授陣らに講演してもらう機会もあります。本校では国公立大学の医学部を志望する生徒が多いため、医学に関する講演が多いのも特徴です。そうした中、今春スタートした「医志コース」は、聖徳太子様の精神である『人を救う慈悲救済の心』を具現化したコースです。本校からは毎年多くの卒業生が出て社会で活躍しています。これまでも医学に携わる人材は多かったわけですが、さらに、世界をリードしていくような人材を育むことができればと思っています」
今回の新コース設置に伴い、全コースのカリキュラムやシラバスが改定された。学校全体のレベルアップが図れたと実感されているというだけに、同校の今後に注目したい。

コース制の先駆けとなった同校。高い大学進学実績の背景にあるものとは

関西エリアには、最難関私学と呼ばれる私立中高一貫校がいくつかある。もちろん校風はそれぞれ異なるが、同校の場合、仏教的情操教育のもとで行われる人間形成と、大学進学指導への強い信頼性を志望理由に挙げる家庭が多い。
同校では1980年代から「英数」「標準」というコース制を採用。その背景となったのは、理系志向の高まりにあった。もともと文系に強い進学校と言われていたが、医学・歯学・薬学などを含めた理系志向の生徒たちが増えてきたことによって、コース制が作られた。高学力育成を掲げるコースと、ゆったりと深い授業の中で徹底して学力を上げていくコースは、その後の私学教育の在り方にも大きな影響を与えた。
授業をのぞくと、生徒たちは真剣に授業に向き合っている。その真面目な印象は、大学受験を控える高校3年生でも中学の新入生でも変わらない。先生方によると、厳しい中学入試によって選抜された生徒たちは、入学後、共生(ともいき)の気持ちをもってみんなが助け合うように指導されているという。文化祭や大阪城ホールで行われる体育祭などで見せる生徒たちの団結力は、まさに仲間意識の強さの表れだと言えるだろう。
昨春のデータを見ると、卒業生388名のうち、国公立大学に進学した現役生は123名(京都大学16名、大阪大学20名、神戸大学14名、奈良女子大5名、大阪教育大7名など)で、うち名が医学部医学科に進学している。もちろん、ここに過年度卒業生の実績を加えると倍近い数になる。
こうした国公立大学進学への強い指導の背景には、充実した教科指導と進路指導がある。学力については、原則として在学中に予備校や塾に通う必要がないようカリキュラムを精選し、授業でも小テストや課題などを細かく行うことで、弱点の発見とそれに応じた対策が講じられている。時には、必要に応じて中学の授業でも大学入試問題が扱われることもあるという。

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