中学受験応援サイト シガクラボ

まずはwebから!未来につながる学びへ

海遊館

╲ 水族館からのメッセージ ╱

海遊館とニフレルでは、臨時休館の期間中、それぞれの公式Youtubeチャンネルで、生き物たちの様子、飼育員やキュレーターの活動などを動画で配信しています。不要不急の外出が制限されているなか、生き物たちの様子を動画でご覧いただき、少しでも快適な過ごし方に貢献できればとの思いから企画しました。海遊館とニフレル、それぞれの特徴を活かした映像で、癒されたり、元気がでたり。今まで以上に、生きものや自然を好きになってもらえたらと思っています。

╲ ここをクリックしてね! ╱

海遊館
〒552-0022 大阪市港区海岸通1-1-10
TEL:06-6576-5501

子どもたちの成長に必要な
生きものとの関わりを考える場所

中学受験の進学塾、日能研関西の小松原健裕代表が以前たずねたのは西田清徳館長のもと。海遊館設立にあたってのコンセプトや水族館としての特長はもちろん、生きものとの関わりが子どもたちの成長に大きな役割を果たすことを、館長に直接うかがってみたかったからでした――

私自身は子どもの頃から生きものが大好きで、山に行ったり近くのお寺の境内でウスバカゲロウの幼虫が作る蟻地獄を眺めて8ミリフィルムで撮影するような少年でした。父は学校の理科の教師でしたから、親の影響もあったのでしょうね。

中学生の時に奈良へ出かけて鹿を撮影しました。ちょうどNHKで「ヤング8ミリフィルムコンテスト」というものがあって応募したところ佳作になったのですが、よほど中身が渋かったのか、審査員に「君の作品には若さがない」と言われてしまいました(笑)

映画が好きで、高校生の時にスピルバーグ監督の映画「ジョーズ」を観て衝撃を受けました。人食いの巨大なホホジ口ザメを退治しようと警官や漁師などが海に向かうのですが、私はその場面で、一緒に乗船していた研究者の姿になぜか心惹かれたんです。そこからですね、サメの研究をしたいと思い始めたのは……。高校の地学の先生が北海道大学出身で、北大に水産学部があるということを知り、研究の道へと進んでいきます。大学院では、サメ研究の第一人者として知られる仲谷一宏先生のもとで学び、エイ類の系統分類研究を行いました。

好きな研究をそのまま仕事にできるというのは本当に幸せなことだと思います。大学院の卒業が間近になった頃、故郷の大阪に帰ろうと思っていた矢先に、国営沖縄記念公園水族館(※現・沖縄美ら海水族館)で当時館長をされていた内田詮三先生から「大阪に水族館をつくる計画があるから紹介しようか」と声をかけていただきました。大学院の研究ではエイやサメの標本を集めるのに大変お世話になっていた方ですから、声をかけていただき本当にありがたかったですね。

興味や関心があること、たとえば「~たい」とか「~になりたい」という願望はぜひ普段から言葉にして表現しましょう。何事でもそうですが、一生懸命に努力していると必ず見てくれている存在があり、それがチャンスにつながってゆくものです。

海遊館ができたのは1990(平成2)年です。「リング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)」と、私たちの造語「リング・オブ ・ライフ(環太平洋生命帯)」が重なり合うことをコンセプトに、できる限り環太平洋に近い環境を作りました。来館者はまず8階までエスカレーターで上がり、大きな水槽を中心に生態の展示を見ながら回廊を下っていきます。これは、生きものが様々な自然環境に適応して暮らすという生物多様性を肌で感じてもらうことを目的としています。今後は水族館という枠にとどまらす、ステレオタイプ(固定観念)を打ち破る新しい価値を提案していきたいですね。

図鑑でも映像からでもよいですが、子どもたちに芽生えた生きものへの興味や好奇心は、海遊館でさらに高まると思います。本物の迫力はリアルに体感しないことにはわかりませんから。でも、海遊館も人が造ったもので大自然への橋渡し的存在なのです。生きものというのはいろんな関わりの中でバランスが保たれています。子どもたちには生物多様性の大切さを感じ、自然環境への畏怖・畏敬の念を持つ体験をしてほしいですね。

海遊館館長 西田清徳 (にしだ・きよのり)1958(昭和33)年、大阪市生まれ。1989(平成元)年、北海道大学大学院水産学研究科博土課程修了。海遊館には建設計画から携わる。展示開発課長、飼育展示部長などを経て2007(平成19)年に館長に就任

インタビュー:日能研関西代表 小松原健裕