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SCHOOLスクール+LIBRARYライブラリー

学校図書館の役割とは何か

校舎のどこに図書館・図書室が位置するか、ここに私立・公立を問わず各校の考え方が表れる。生徒たちの生活動線上に設置された学校図書館では、教科教育と連携し多彩な学びを可能にしている。本サイトが強く提案するのは、学びの中心にあるべき学校図書館と、それをサポートする司書スタッフの重要性。学力の中には、授業だけでなく、見えないところで培われているものが必ずある。

■生きる術を学ぶ実践の場、学校図書館は「教育の中心」

 いつでもどこからでも世界中のデータベースにアクセスすることが可能な時代。膨大な情報があふれる中で、必要な情報を取り出し利用することは、非常に重要な能力だ。自由競争を原則とする現代社会では、我々は個人の責任において情報を取り出し、状況に応じて様々なツールを活用していくことが求められている。環境によって、また個人の能力によって、得られる情報の質や量は大きく差があり、その質や量が一人ひとりの生活に関わるといっても過言ではない。必要のない情報に接し、心が傷つくこともあるだろう。

 こうした時代にあって、学校図書館には二つの機能が必要だといわれる。

 一つは、生徒の読書活動や能力を育成する「読書センター」としての機能。これは従来から行われている文字通り読書活動の啓蒙だ。近年は「朝読書」運動をはじめ、学校全体の取り組みも多くみられるようになった。一生残る言葉や書籍を自分自身で発見したときの喜びに勝る感動はない。また、同級生との共通の読書体験は生涯かえがたい経験となる。同じ物語にも関わらず、まったく読後の感想が異なる友人の存在は、他者の視点に気付く大切な瞬間。この点において、これからの学校図書館は、単に蔵書を貸し出す場所に留まらず、生徒たちの成長を促す書籍や心の癒しとなる映像を提供するなど、学校司書が生徒一人ひとりの変化に合わせた、きめ細やかな『読書指導』を行う場になることが、さらに求められるであろう。
 二つ目として示されているのが、メディアを利用して主体的に学ぶ力や態度を育成する「学習情報センター」としての機能。生きる力、生涯にわたっての学習は、知識を習得することから活用することへと確実に変化している。その生涯にわたって学び続ける能力を育成する場所であることが、今日の学校図書館の大きな役割ともいえる。  学校図書館は、生徒にとって「知的世界」への扉であり探究の場。日々の学習や研究、調査に必要な情報、膨大な資料を収蔵し、活用することができる。ただ、それは蔵書数を誇り、自習室を完備し、最新の検索機能があればいいというのではない。

 今日、わが子が通う学校の図書館が公共図書館、博物館、美術館とも連携され、あらゆる資料の検索が可能なのは当たり前。無数の書物や映像資料、メディアの中から、求めるものを的確かつ迅速に探し出すにはどうすればよいのか。学校の中だけでなく、どこに行けば生きた体験が得られるのか。そうした取捨選択には、図書館そのものをうまく利用する力、『図書館教育』が欠かせない。生徒が情報を求めた際に、検索、回答することを助ける業務「レファレンス・サービス」は重要な役割。司書教諭、学校司書にとって最も欠かせない任務となる。 現代の学校では、『読書指導』と『図書館教育』の双方において、司書教諭、学校司書を常勤さることは、必要絶対条件となりつつある。
「学校図書館は、できる限り生徒の居心地のよいものにし、自由に楽しく過ごす場所にすべき……」。これは、今回の取材をするなかで、司書教諭、学校司書の先生から幾度か聞いた言葉。私語がなく張りつめた空気の中で本を読み、自習をする生徒が並ぶ光景が大方の学校図書館に対するイメージだろうが、一方で書物について語り合い、自由に議論できる場としても存在すべきであろう。生徒の知的要求のすべてが共存する多様なスペースを持っているのがよい図書館の証。生活の場として図書館をとらえ、『規則と自由』の境界は生徒自身が定めるのが理想だという。学校図書館は、まさに社会を生き抜くための実践力養成の場なのだ。