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取材・文/橘 雅康 撮影/岩井 進 取材同行/小松原健裕(日能研関西代表)

キャンパスに足を踏み入れた瞬間、教養や知性、そして品格を大切にしてきたこれまでの校風の中に、さらなる活気が感じられます。 1915(大正4)年に創設された広島技芸女学校をルーツに持つ同校。2023(令和5)年には、幼稚園、小学校、中学校・高等学校、そして創設者・安田リヨウ先生の記念館のある白島キャンパスを再開発し、素晴らしい教育環境が生まれました。
中央にそびえる安田リヨウ記念講堂へと正門からまっすぐに続く水景。左手に中学校・高等学校校舎、右手には小学校校舎が建ち、いずれも一階の外廊下にはアーチ状の列柱が施されています。キャ ンパス内の校舎群は赤煉瓦で統一され、歴史ある欧米の名門大学のような美しい風情を感じさせます。
一世紀を越えて「柔しく 剛く」の精神をモットーとした女性教育を貫いてきた同校。多彩でユニークな学びの数々は、まさにここがリベラルアーツの殿堂であることを物語っています。

マシュー先生とリンジー先生を囲む中2生たち。両先生が分割して行う「オーラルコミュニケーション」の授業では、問題にチャレンジする生徒たちの活発な姿が見られた。

SPIRITS創設者の想いを具現化した、「白梅」という名の特設授業

創設者である安田リヨウ先生は、真冬の雪の中にあっても凛と咲く白梅に少女たちのイメージを重ね合わせました。柔和な優しさと剛健さを兼ね備えた女性の育成は、創設から一世紀を越えた現代にもしっかりと受け継がれています。「茶道」や「水引き」など、日本の伝統文化を学ぶ特設授業「白梅」も品格教育を行う同校ならではの取り組み。写真は中庭にある石碑、リヨウ先生が子どもたちの手をとる姿がレリーフとして表されています。


  • ライブラリには平和への祈りが込められた図書の展示も。キャンパス内には慰霊碑もあり、毎日きれいに世話されている。


  • 白島キャンパス内にある記念館では、安田リヨウ・五一夫妻の貴重な資料が保存されている。学問を志した青春時代から学園創設に至る経緯までが展示され、書斎再現。時を越えて、熱い思いが伝わってくる。

常に新しいことに挑戦してきた創設者のマインドを継承!

再開発された安田学園白島キャンパスを訪れ、校舎の持つ迫力に圧倒されたという日能研関西・小松原健裕代表。校長・赤川雅美先生に昨今のチャレンジ精神あふれる校風について話を伺いました。

日能研関西代表 小松原健裕

小松原代表(以下敬称略) 安田女子といえば、とても落ち着いていて、おしとやかな生徒さんが多い印象を持っていました。実際の授業を拝見して、エネルギッシュな生徒たちの活気に驚かされています。

赤川校長(以下敬称略) 校則や躾教育が少し厳しい学校として、本校のイメージを持つ方は多いでしょうね。ただ、ここ数年は、もっと生徒個々がオープンなマインドを持って、自分をさらけ出していいんだという空気感が作られてきたように思います。たとえば、本校で小学生向けのオープンスクールを開催するとなると、「先生、私が手伝います!」とすぐに多くの声が上がり、コンシェルジュとして案内役を務めてくれますし、校内がとても前向きで快活な雰囲気になっています。

校長 赤川雅美先生

小松原 この校舎のもつ機能性が、生徒たちの活動をうまく後押ししているようですね。

赤川 教師人生が長くても、新校舎の建築に立ち会うことはそうありません。そういう意味では、これまでの本校の歴史と伝統を踏まえたうえで、これからどのような学びの形を生み出せていけるか、その答えを導いてくれるような学舎になっていると思います。私が校長に就任して以来、掲げている目標があります。それは、本気の挑戦にあふれ、日本一生徒が伸びる女子校にしたいという思いです。学力はもちろんなのですが、生徒たちはさまざまな面を持ち合わせていますから、それぞれの良さを授業や行事などを通じてうまく引き出せるかどうか。今年は特に「夢中になろう」をテーマに掲げています。
時間を忘れて何かに没頭できるということがいかに大切か。

教職員が一丸となって、生徒たちのチャレンジをサポートできる環境を作っていこうという共通認識を持っています。もともと生徒と丁寧に向き合ってきた私学ですから、今後もとことん付き合っていきたいと思います。

小松原 そういう先生方のマインドと教育環境とがあいまって、いまの闊達な校風が生まれてきたわけですね。

赤川 これまでスーパーサイエンスハイスクールの指定やSTEAM教育で培ってきたノウハウを全学年全クラスに注入していきたいと思います。また、昨今は特に英語教育にも力を入れていますが、その成果が実っていて、今年の高3生であれば英検準1級の取得者が16名ほどになりました。イングリッシュキャンプや海外姉妹校との交流も活発ですし、生徒たちの積極性がより際立ってきたという印象です。自分自身の魅力に気づき、できることをさらに磨いて、しっかりそれをアピールできるような生徒が増えてきています。本当に嬉しいことですね。
社会の様々な分野で活躍している卒業生の姿を見ると、女子校の存在価値はあらためて見直され、評価されるのではないかと考えています。本校には、生徒が主体的に取り組む学校行事、委員会活動、アフタースクールでの活動などにおいて、それぞれの企画・準備・運営といった場面でリーダーシップを発揮する機会がたくさんあります。こうした経験は、将来社会に出てからも必ず活きてくるはずです。

FACILITIES 3層吹き抜けの巨大空間が、新たな学びのカタチを提案!

校舎の最大の特徴が、生徒たちが学びをクリエイトするラーニングコモンズの存在でしょう。ここにはオープンな「ライブラリ」と多様な学習スタイルが可能な「A.L.(アクティブ・ラーニング)ルーム」、洋書が3千冊並ぶ「グローバルエリア」、そして「自習室」が完備されています。生徒たちが伸び伸びと、主体的に学べる環境が整えられています。他に「ピアノ室」やグループ用の学習室などがあります。


  • 「ライブラリ」は、壁がないだけでガラっと印象が変わるオープンな図書スペースに


  • 放課後の和室で行われていたのは課外活動の「茶道(表千家)」。同校の礼法や作法を大切にする伝統は確かに息づいている


  • 安田リヨウ記念講堂は、幼稚園児から高等学校までの生徒が使用する共用スペース。クラシカルで重厚感があり素晴らしい音響設備を備えている


  • 北欧ブランド・レクリントの照明などが使われ、名門ホテルのようなゴージャスな仕様のトイレ。内装も、寒色系や暖色系などトイレごとに壁紙やタイルのデザインが異なるというからすごい

教育の真骨頂ともいうべき、先生と生徒の厚い信頼関係

  • 吉野谷先生が指導する中2「音楽」の授業では、「夏の思い出」を合唱。発声法や声量の抑揚など、先生の一声でみるみるうちに上達。



  • 素晴らしい歌声に心が洗われる。緊張感の中でも笑みを絶やさずに歌う生徒たち