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- 利晶学園大阪立命館

取材・文/橘 雅康(本誌編集長) 撮影/岩井 進
取材同行/藤本智之(日能研関西本部)、足立直広(日能研枚方駅前校室長)、藤本敬嗣(日能研天王寺校)
いま、南大阪の地で最も勢いのある私立中高一貫校といえば、利晶学園大阪立命館中・高だろう。2009(平成21)年より立命館との教学連携によって「サイエンス&グローバル」という、世界での活躍を視野に入れたクリエイティブな人材を育成することが可能となった。2025年4月からは現校名となった同校だが、学園の名にある「利晶」は、堺の地にゆかりのある茶人・千 利休と歌人・与謝野晶子に由来。生徒個々の主体性を重んじた校風で、人気は年々高まっている
次代のニーズに合った学校とは何かを模索し、進化をし続ける学校でありたいですね
校長 花上徳明先生
今春で校長として6年目を迎えることになりましたが、就任する数年前はまだ中学は定員を割っているような状況でした。生徒たちが学校生活を送るうえで旧態依然の古い体質と感じた部分など、在校生や受験生の視点に立って変えてきました。そうした変化によって、一定の評価を得ることができたのではないかと思っています。古い考え方というのは、大学進学一辺倒と言いますか、世の中が大きく変化している状況の中で、実績主義のような一つのものさしだけで学校教育を行う時代ではもうないということです。
私は東京出身ですが、首都圏の私学の中には、高い偏差値帯の学校でなくても、教育スタイルをダイナミックに転換することで見事に花を咲かせ、高い評価を得ている学校が多々あります。これからの教育のあり方を考えた時に、いわゆる均一主義ではなく多様性を大切にする文化を持つ学校でなければと思いました。
立命館との教学連携をした「立命館コース」も、グローバルな視点でものごとをとらえる「ユニバーサルスタディコース」も、科学的な思考や探究活動も多い「アドバンストα・β」といった、多様なコース編成を持っているのも一つですね。
ロボットの設計やプログラミングを行うサイエンス部。同校には「サイエンスラボ」といって、3Dプリンターなど各種装置の揃った教室があり、生徒たちが製作や実験などに活用することができる。
学校生活の中でも、時代に合わせ機能性を重視すべきだと考えています。たとえば、制定品の中に高価でしかも重くて使い勝手の悪いダッフルコートがあり、実際には生徒たちはそれを着ず、ブレザーの下に着込んでくるような状態でした。それならば生徒たちを交えて話し合って、上に羽織るものも自由化してみてはどうかと提案しました。教員の中には心配する声もありましたが、いざふたを開けてみると、生徒たちはちゃんと節度を持って着こなしていました。
硬くて重い革靴にしてもそうです。もちろんそれを大切に貫く私学があってもいいですが、本校の場合は広範囲の地域から公共交通機関を使って毎日登下校しますから、やはり成長期に履かせることも考えてスニーカーに替えました。衣替えという慣習もやめました(笑)。自分に合うものを選ぶということも大切ですし、体調管理は本来、自分自身で気を付けるべきことですよね。
本校にはたくさんのバリエーションがあります。ここ数年で入学してくる生徒たちの気質は明らかに変わってきました。自分で考え、主体性を持って取り組める生徒が増えてきたのは本当に嬉しいことです。
学校生活に適した絶好のロケーション南海高野線「北野田駅」、近鉄長野線「富田林駅」、泉北高速鉄道「和泉中央駅」「泉ヶ丘駅」からは毎日スクールバスの運行あり。堺市には古墳群があり、学校の周辺には狭山池や阿弥陀池など池も多い。山々の緑に囲まれたとても落ち着いた環境となっている。
躍進するスーパーサイエンスハイスクール同校で掲げられているサイエンス教育の4つのテーマが、「STEAMでの課題研究」「多面的な探究力の育成」「世界とつながる実践授業」「『土曜講座』の実践」。毎年、研究発表やポスターセッションにも参加し、国内外の研究者と繋がっている。
とてもアクティブな気質の生徒たち同校人気の理由の一つとして、やはり快活な生徒たちによる明るい校風が挙げられるだろう。校内に一歩足を踏み入れれば、教科教育を中心とした学びとスポーツ、クラブ活動など、教育のバランスが良いことに気づく。キャリア教育も含め、未来志向を貫く同校らしい特長だ。
日々、国際的な視点で物事をとらえる語学の習得、異文化への理解、国際情勢に対する問題意識など取り組む課題は多いが、校内のみならず、立命館アジア太平洋大学の連携サポートなど体制も万全。英語だけで数日を過ごすイングリッシュ・イマージョンキャンプ、海外研修の機会など、プログラムは盛りだくさん。