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2006年、文部科学省より女子校としては全国初となるスーパーサイエンス・ハイスクール(SSH)の指定を受けた同校。充実した実験装置・薬品類を備える科学館や高レベルな理科教育プログラムの確立など〝リケジョを育てる武庫女〞という素地を固めた今、時代に即した新コースを携え、2024年新たなスタートを切る。同時にコーラス部やマーチングバンド部、カヌー部など40ものクラブ活動は盛んかつ功績も素晴らしい。他にも武庫川アメリカキャンパスへの留学、ヨーロッパなどへのグローバル研修で世界に目を向けつつ、茶道・華道・書道の日本伝統文化にも1年をかけてじっくり取り組むなど、「武庫女」は実に多彩な表情を持つ学校だ。多岐にわたり生きる力が育まれる充実した環境の中で、生徒たちは自らの人生を思い思いにデザインしていく。
2023年9月 取材

総合女子大学の附属校ならでは。先輩たちは人生のロールモデル

校長
世良田重人先生 “次なる明るい世の中を創り上げる子どもたちを育成すること”それが教育の魅力だと語る世良田校長。立学の精神を受け継ぎつつ革新的教育を推し進める。

2024年、武庫女は教育プログラムを変革し、新たな2コースをスタートさせます。驚異的な発展を遂げ続ける現代に即応し、新しい価値をも創造できる人材を育成するため、これまでSSH(スーパーサイエンスハイスクール)も含めて培ってきた武庫女教育を更に発展させます。 SOARグローバルサイエンスコースでは、理系の専門的な学びと英語力向上を図り、グローバルリーダーとして、どの分野でも活躍できる女性を育成します。SOAR探究コースでは地元企業や武庫川女子大学との連携による本物の社会活動に共に取り組み、将来の自分を見つけます。中学3年次には本学院が持つアメリカ分校で寮生活による短期留学を実施します。また、「善美な情操」を育む建学の精神に則り、本校では芸術にも力を入れ、中学では1年を通して茶道・華道・書道を学び、日本文化体得の取り組みも行っています。 生徒たちの個性は実に多彩であり、クラブ活動で全国大会に進出する子もいれば、アイススケートやシンクロなど学外の活動を頑張る子、理系を極める子、英語や留学を目指す子など各ステージでそれぞれが輝き、お互いに共鳴し合っています。本校の卒業生の8割は、文系・理系・芸術等12学部を擁する武庫川女子大学へと進学しますが、この武庫川女子大学との連携行事も多いため、目標としたい未来像としての先輩たちに触れる機会も多いのです。いわゆる人生のロールモデル的な存在も武庫女の際立つ特色です。そこから自らが成長するための大きな手掛かりを得、自分の適性・関心・能力からどのような女性として生きたいか、何を軸に「一生を描ききる」のか。武庫女でならその最良の選択ができるでしょう。

SPIRITS女性の活躍を見込んだ教育展開に定評がある女子総合学園

校祖・公江喜市郎(こうえ きいちろう)先生により、高い知性と善美な情操と高雅な徳性とを兼ね具えた女性育成を目指し創設された武庫川学院。創立100周年に向け、「一生を描ききる女性力を。」を掲げ、女子教育プログラムを展開する。地域や企業、他大学との連携を推進し、社会とつながる場を学内外に創出。毎年夏に一般来場者を招いて行われるサマーコンサートでは、武庫女の音楽系クラブが日頃の練習の成果を披露し、地域に還元している。


武庫川学院は、保育園・幼稚園・中学校・高等学校・短期大学部・大学・大学院を有し、1万人以上が学ぶ全国有数の女子総合学園。附属中高の多くが進学する武庫川女子大学には、現在薬学部や食物栄養学科、建築学科などがあり、2015年には看護学部、2019年には教育学部も開設。2024年には文学部に歴史文化学科を新設し、女子大学最多の12学部20学科に。米国・ワシントン州にアメリカ分校も持つ。


  • 英語教育はもはや当たり前。アメリカ分校への留学をはじめ、世界6か国9校との交換留学など、国際的視野を習得していく。学内でもネイティブ講師の指導による生きた英語に触れながら、日々実践的な英語力を高める。学内コンテストの実施や英語検定取得目標も掲げられ、中高6年間のうち一度は海外生活を体験するよう推進されている。


  • 武庫女中高コーラス部より武庫川女子大学音楽学部へ進学し、この春よりコーラス部顧問となった長田先生(写真上)。


  • 科学館を案内してくれた入学対策部長の網本先生。化学実験室、生物実験室、物理実験室、先端科学実験室など専門教室がびっしり。理科の教員も多く、実習や実験が積極的に行われている。

SUPER SCIENCE10年以上にわたりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として活動する武庫女の理数系探究活動

2006年、武庫女は文部科学省より私学の女子校として日本で初めてスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けた。指定校となることで、先進的な理数教育を実施するために必要な支援が国より行われ、各学校で作成された計画に基づいて独自のカリキュラムによる授業が展開される。武庫女では10年以上にわたりこのSSHの指定校として取り組みが行われ、実験装置や薬品類のほか映像機器といった施設・設備の充実がなされ、日々理科に関する実験や観察が多数行われている。生徒たちは数々の理数系探究活動を通し、課題設定能力、思考力、対話力、データ収集能力、協働的問題解決能力など様々な能力を習得していく。その活動範囲は国内のみならず、SSH関連事業として海外で行われる講義への参加や、海外施設の見学も行われる。そして、その成果を自分たちでまとめ上げ、学外へ発表し、地域への還元も行う。この実績がまさに「リケジョを育てる武庫女」としての認知につながっているのだ。今後もこれまで培ったノウハウを活かし、教育プログラムとして行っていく。


  • 母国の大学で生物学を専攻していたローラ先生による高3「理系英語」の授業。生徒は3人グループに分かれデータを英語で論文にまとめる。


  • 夏休み中に生徒が行った、ペットボトルに豆もやしを入れ日光や水の量など様々条件を変えてその成長を検証する「もやしと二酸化炭素の関係」の実験データについて、ローラ先生が英語で解説を行う。科学英語論文という高度な内容だが、明るくテンポ良く話すローラ先生の授業では生徒たちの笑顔は絶えない。日本人教師もサポートするペアティーチングによる授業で理解を深める。


高2「物理基礎」“熱と仕事”の授業ではサーモグラフィカメラを用い、熱をもった物質が放つ赤外線の感知・測定が行われていた。お互いの体温を測り合う生徒たち。「発熱している人はすぐに帰るように!」という坂本先生の冗談を交じえながら授業は進行した。

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