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自然豊かな大阪・千里丘陵に学舎を構える金蘭千里。「金蘭」とは中国の故事由来の言葉であり、心を同じくする親友が一致団結することでどんなことでも成し得ることを意味する。その名の通り、金蘭千里の自慢のひとつが「仲間」であり、その絆には同校が教育の要として行っている毎日の20分テストが関係しているという。その20分テストをベースに学力向上をはかり、北摂の進学校として「伸ばす、伸びる」教育を確立してきた。ここで得られる一生ものの学ぶチカラは、「金」にも勝る才能だ。金蘭千里では毎年一定数いる医歯薬系希望者のため、医学部志望者向けの小論文・面接講座専任教員も配置し、個別指導にあたる。また、男子はサッカー、女子はバレーボールを「校技」として取り組む独自のスポーツ教育も展開している。中高6年間はまさに一刻千金。実績も証明する同校独自の教育プログラムは、大いに利用する価値がある。
2023年5月取材
SPIRITS継承される、生徒と向き合う姿勢 生徒を見つめ自律へ導く学校へ
初代校長・佐藤一男先生は創設当初、“学校は高い指導力を持った教師が人を育てる塾であり、自主的に学び、鍛える道場である”とし、“少人数教育で一人ひとりの顔を見る教育がしたい”という想いがあった。ゆえに数カ月分の学びが一度に試される考査ではなく、一人ひとりの理解度をきめ細やかに見ることのできる日々の20分テストを始めたとされる。そして今、教員はただそれをやらせるのではなく、日々生徒を見つめ、生徒の自律を促しながら向上を後押しする。どのような状態でも寄り添い、最終的には生徒自身に乗り切らせる。金蘭千里はそのような面倒見の良さを持つ学校であり、生徒に向き合う姿勢は創始者の想いとして継承されている。
勉強することが当然の文化 導く教員と、仲間と共に
金蘭千里の卒業生で同校に非常に愛着を感じているという大中校長にお話を伺いました。
「本校は創設以来学びを非常に重視し、1クラス30人編成という少人数制をとってきました。一人ひとりの生徒をしっかり見たいという創立者の想いは、現在の本校の大きな特色の一つである『個別対応の強さ』につながっています。教員の眼が生徒一人ひとりに行き届き、生徒の変化にも気付きやすい環境は本校の伝統です。本校の職員室には丸テーブルがいくつか設置されており、昼休みや放課後には教員への質問や面談に訪れる生徒が絶えません。生徒たちはこの環境のもと、先生はいつも見てくれている、頼っても良いんだという安心感を持って学生生活を送ることができます。
私がよく生徒に伝える言葉に『自律』があります。本校の建学の精神のひとつにも『自主独立』がありますが、『自律』とは自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する力。それを身につけましょうと伝えています。2014年から行った大規模な創立50周年改革の際に、クラブ活動や学校行事を活性化させ、生徒主体で活動する場を大幅に増やしました。中1から始まる野外活動では、キャンプや徒歩訓練、立山・上高地研修、北海道研修と学年ごとにレベルが上がっていくプログラムとなっており、生徒たちは自然の中で自発的に行動し、仲間と協力しながら心身ともに成長していきます。また、キャリア教育にも力を入れていることも本校の特徴です。大学受験は通過点に過ぎず、その後の幅広い将来像を描くため、さまざまな価値観、人生観を知る機会を設け、その職業の方がどのように考え動いているかを中高の大切な時期に知り感化させることが大切だと考えています。
おかげさまで金蘭千里は、入学時の偏差値に比べ大学進学実績が良いとする〝6年間での伸び率〞データにて雑誌等から高評価をいただいています。金蘭千里は生徒の可能性が拡がる学校です。私はこれからも時代の潮流にアンテナを張り、生徒や親御様そして教員の先生方の立場に立って考え、それぞれにとって満足度の高い学校を目指してまいります。」
また、2014年に行われた50周年改革時には企画室に所属され、改革の中心的役割を担われた川野教頭に20分テストについて伺いました。
「本校の20分テストは毎朝1教科、2週間分の学習範囲の復習テストです。年間にして約150回行われます。毎日と聞くと第一印象としてきつい印象があるでしょうし、実際入学してから慣れるまでに時間を要する子もいます。6年間、毎日が薄く試験前であり、テスト範囲は狭いですが小テストでは無いため毎日テスト勉強が必要になります。しかし日課は習慣化され、やがてそれが当たり前になっていきます。教室でも誰かが勉強している姿が不自然でなく、生徒同士が翌日のテストに向かって勉強することが日常になっていきます。お互いに情報交換しながら和やかに高め合う姿が普通にある。私は、これはもう「文化」だと思っています。全員がこの文化の中、毎日勉強することが当然でそれが6年間続くため、卒業後も継続した学習習慣が間違いなく身に付きます。役に立つと思っていたことが役に立たなくなっていき次々に新しいことを学ぶことが必要な世の中で、本校のこの仕組みにより大学進学後も自ら継続して勉強に取り組める人になっていくのです。
学校とは環境であり、環境は人です。生徒たちにとっての人は、やはり同級生です。金蘭千里のこの適度な負荷が続く同じ境遇に身を置き、すべきことを同じくし、一緒に頑張る、友達を超えた仲間がいます。6年間一貫教育なので、机を並べる仲間がどういう人らであるかは特に大きいでしょう。この仲間にも恵まれる学校、それが金蘭千里なのです。」