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校名にもある「先端科学」という言葉。もちろん、その根底にあるのは、地道な基礎学力をつけるための授業

2022年11月取材

校長
佐々井宏平 先生

 本校の創立者 辻本光楠先生は、1897年15歳の時に、世界を舞台に活躍する日本人の姿を実際に目の当たりにすべく単身渡米しました。ところが、現地では多くの日本人たちが、日本人だけのコミュニティを作り、アメリカの大地主に虐げられている自分たちの境遇を嘆くばかりで、がっかりしたそうです。そこで、自分の思いを伝えることの大切さ、そのためには相手の思いをしっかり聞くことの大切さを痛感し、世界的視野を持ち、主体的に行動できる人材を育てていく覚悟で、1925年教員6名、生徒24名で学校をスタートさせました。
 昔なら、大学に入ればなんとかなる時代でしたが、今や自分自身を常にスキルアップしないといけない時代です。生徒たちには、好奇心を持って勤労観・職業観を養い、確固たる学習歴で胸を張って、「私の力で社会を明るくします!!」という人生を送ってほしいと考えています。国際的に、レジリエンス(回復力)・エンゲージメント(自発的貢献意欲)・女性の活躍が言われていますが、大学では「生涯学び続け、どんな環境でも勝負できる能力」を身につけ、自らの人生を切り開くための財産としてほしいですね。本校では、生徒が中学3年間で適性を見抜き、高校3年間で個性を伸ばす。その間、何に向いているか、何になりたいか、何を極めるかを、徹底的に考えさせています。10年後の自分に向かって「いつかプロ! 今、本気!」をスローガンに掲げていますが、約5年前にプロ野球の横浜DeNAへの入団会見の際、本校を卒業した上茶谷選手が、このスローガンを口にしてくれたときは嬉しかったですね!

 「先端科学」という校名に通じる多彩なプログラムがある本校ですが、基礎学力と学びの質の向上も不可欠です。特に「やればできる」「コンプレックスを持ったまま大人にならない」ことが大切だと生徒に伝えています。何でもやってみることが大切で、試行錯誤する過程の中で獲得した成功体験が自信につながっていくと思います。生徒・教員とも難関大学への合格実績をなんとかして出したいと始めた、超難関数学講座では、高3・高2の生徒が一緒になって、ほどよい緊張感と和気藹々とした雰囲気のバランスの中で、大いに楽しみながら授業が展開され、結果につながってきています。30歳の新進気鋭の教員が研修で「皆さん!面白い授業していますか?!」と発言していた通り、教職員一丸となって「私が世の中を明るくします!」との心意気で、生徒たちが喜ぶことをどんどんやっていくつもりです。経験は人生の宝、「いつかプロ! 今、本気!」をモットーに学校運営を進めていく覚悟です。

「地球学」という探究学習で、生徒の知的好奇心を引き出す同校の教頭先生に、
KUASならではの学びの魅力を聞いてみた。

KUAS=京都先端科学大学附属中学校の略

教頭
山田尊文 先生

 多彩な学校行事をまず紹介しましょう。昨年10月を例にとると、写生大会(二条城)、枕状溶岩観察のフィールドワーク、日本電産の本社訪問のキャリア教育、中大連携の稲刈り体験プロジェクト(バイオ環境学部との中高大連携事業)、ウクライナ講演会や、京野菜農家訪問、中3の国内研修では、種子島のJAXA宇宙センターや知覧特攻平和会館などへも出かけました。さらに中1の2人組が11月に北海道大学「海の宝 アカデミックコンテスト全国大会」に出場し、最優秀賞「海の宝大賞」を受賞、同大学の函館キャンパスで授賞式に出席しました。行事を楽しみ、成果を出しているのが本校生徒のすばらしいところだと思います。
 ちなみに中学生は、全員GNコース(グローバルナビゲーターコース)として、心をみがく、視野を広げる、頭をきたえることをモットーにしています。本校は、SGH申請の際、「21・3世紀のグローバルナビゲーターを育てる」を謳い、法人合併後はSociety5.0社会で活躍できる「京都発世界人財」の発掘・育成を目標に掲げています。そのため、中1で「好奇心を持とう、お互いを認め合おう」、中2で「探究心を持とう、お互いを支え合おう」、中3で「挑戦心を持とう、お互いを高め合おう」という学年ごとの目標を設定しました。
 また、グローバル教育の一環として、ネイティブ+日本人のW担任制を、今の中1から3年間実施し、この4月からは体育、音楽、美術でイマージョン授業を導入するなど、英語に触れる機会がこれまで以上に増えることで、英語に対するハードルを下げる効果を期待しています。林間学舎でもイングリッシュアクティビティを充実させていきます。海外オンライン交流も盛んで、中2 全員がスウェーデンの連携校と、中1〜中3(希望者)がインドの連携校とオンライン交流を実施。このグローバル教育の成果を結実させるため、中3の5月から6月にかけて、「15歳で世界へ出る」としてカナダ研修(12日間)を実施、ホームステイや現地校との交流、さまざまなアクティビティなど「一生の宝」となる経験を積み、生徒たちは人生を変えるほどの強烈なインパクトを受けます。ちなみにTOEFLは2020年から年2回チャレンジ、英検は、昨年中2女子で準1級合格者が出ており、中3で英検3級80%、準2級は35%出ています。高校国際コース(7か月または10か月長期留学ができる)は卒業後、直接海外大学をめざす生徒も多く、世界ランク34位(東大は36位)のカナダのブリティッシュコロンビア大学へ進学した一貫生も出ました。
 今、社会が求めているのは「卒業価値」であり、中学入学後、6年間でどれだけ成長したかが勝負で、KUASでしかできない「学び」があると自負しております。

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