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最近よく耳にする「アクティブ・ラーニング」という言葉。
教員からの一方向的な講義ではなく、生徒が主体的に参加して課題を解決する力を養う。
授業手法として語られることも多く、創立140周年を迎える龍谷大学付属平安の取り組みから、その本来の意味を探ってみた。

「Who are they?」と書かれたプリントを片手に、向かい合って質問し合う。これは、相手が知らない人物を探し当てるゲーム。
フォニックスを取り入れ、発音も堂々たるもの。

時間数は公立の倍、生徒はペアで思い切り声を出す

 「日本人は少なくとも中高6年間、英語を勉強していて、どうしてしゃべることができないの?」

 今年度、中学1年生の英語を受け持つ北川香先生は、以前、ネイティブの友人から、こう質問されてハッとしたという。「声に出して読む機会がすごく少ない…」。黒板に書いたことを写すのも文法理解には必要なのは確か。「でも授業では、それをなるべく短くしてペアリーディングや、自分が教室を回り多くの生徒と会話する。その時間を増やすよう意識しています」(北川先生)

 龍谷大学付属平安の中学1年生は、1週間に8時間の英語の授業を受ける。(※ドラゴンゼミJr.を含む)これは公立中学校の倍だ。8時間のうち、半分の4時間がネイティブの先生も入っての2人体制。授業Aで文法を習い、Bではその文法を使ってゲーム形式のペアリーディングを行う。燧土勝徳校長は、「子どもたちからは、授業を楽しんで受けている雰囲気を十分に感じています。

 アクティブ・ラーニングは、教科としてはまずは英語が効果的。先駆けの存在として英語を中心としながら、教科を横断して行っています」と語る。

※ドラゴンゼミJr. …… 週3回、7・8限目に行われる特別授業

  • 2月の”English Day”はプレゼンテーション、ディベート、劇をすべて英語で行う龍大平安の名物行事

  • 「習得=>活用=>探究」のたしかな流れ

英語教育に例をみる成長へのステップ

「中学校ではまず、お互いに教えあったり、助けあったりしながら、言葉そのものを理解して使うところまで持っていきたいですね」。そう話すのは中学1年生から順に持ち上がり、現在、高校1年生を担当する英語の村上幸一先生。

授業ではペアになって教わった後、友だちを相手に使う練習をする。その使ったことが、実際にどれだけ使えるようになったかが成果発表の場で試される。日常の授業にテスト、インタビューテスト、そして”English Day”という行事。また、留学生を招いての交流でも実力を発揮する。

「中学校の授業は『基本を習う=>やってみる=>発表する』の流れですが、高校では、これまで培ってきたことを土台に辞書や文献、インターネットからアイデアを収集し自分の考えを構築する。そして、それを国内外の相手とexchange(交換)する。これが、アクティブ・ラーニングの全体イメージです」(村上先生)

「”習得=>活用=>探究”ですね。英語で言えば”習得=>活用”までがネイティブの先生の役割。”探究”はもともと各教科で頑張っていくところ」と話すのは同じ英語科主任の花谷昌史先生。

加えて、英語の学習では”探究”につなげるためにも大切なのは”Your English”だと花谷先生は続ける。綺麗な発音だけを求めるのではなく、使えることに焦点を当てた英語。それが”Your English”。フォニックスを取り入れ発音の追及もしながらも、「途中に”え〜っ”とか”その〜”が入っても構わない(笑)」。どんどん話ができる環境を整えて、授業をしているという。

8月末に3日間行われる勉強合宿では、船上で琵琶湖の水質を調査。身近なところから理系への興味が育つ(中学1年)

  • 10月には京都府美山町で各農家に分かれて、1泊2日の民泊& 農業体験(中学2年)

  • 収穫した大根やカブを協働してゴシゴシ洗う。改めて「食に対す る感謝」を実感

一教科に偏らず、体系化した取り組みで学内に活気が

体育祭、学園祭、勉強合宿そしてEnglish Dayと、同校にはグローバル対応、理数教育対応など多様な行事がある。平井正朗校長補佐は、それが日々の授業、ドラゴンゼミJr.や、週3回(火・木・土)のクラブ活動に解け込み、相乗効果を生んできていると感じるという。

「アクティブ・ラーニングとは一つの教科ではなく、学校全体が体系化して取り組み、初めて効果を生むものです」(平井校長補佐)。

140年の歴史をもつ龍谷大学付属平安。学校生活のいたるところに、生徒たちの主体性が息づいている。

龍谷大学付属平安中学校・高等学校

〒600-8267
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