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職員室前かつ図書館前の「ブラウジングコーナー」と呼ばれるこのスペースでは、昼休みも放課後もご覧のように生徒面談が日々行われている。3学期制の同校では、1学期に1回は生徒面談があるとのこと。案内してくださった先生によると、いざテスト前となると、隣の職員室に行ってすぐ質問ができるため、多くの生徒が利用する大人気な場所らしい。他にも図書館と多目的室3つが利用可能で、その入口には、チューターとして活躍している卒業生の大学名・学部名・待機時刻までわかるスケジュール表が貼ってあり、驚かされた。教師と生徒たちとの厚い信頼関係は、1902(明治35)年の創立以来の伝統。京都市伏見区、桃山御陵に程近い同校の学校生活に密着する!
撮影/川勝 幸 取材・文/神崎 勝 取材同行/君谷 円(日能研烏丸校室長)
生徒指導に力を尽くす優秀な先生方が学校を支えています
8月発行『Newsweek日本版』で「世界が尊敬する日本人100」の【Artists & Entertainer】として本校の吹奏楽部が選ばれました。アメリカやイギリス、台湾の建国記念日のイベントや、ディズニーランドにも招待され、本校に関心をお寄せいただく機会が増え、ありがたく思っています。吹奏楽部を含め、校門前には全国大会出場の4つの部の横断幕がありますが、生徒みんなが充実した学校生活を過ごし、いずれは「世のため人のため」に活躍できる人材に育つよう、教育活動を実践中です。
本校の教育理念は「自立・共生」です。生徒自らが学ぼうとする心を育てるためには、まず先生自身が様々なことにチャレンジしながら生徒と共に学ぼうとする姿勢を持つことが何より大切だと考えています。実際、本校には生徒のために明るくイキイキと授業の工夫をしながら生徒がより充実感を得られるように、一生懸命取り組む熱心な先生が多くいます。また、進路指導部を中心に進めている学習支援でも、塾に行かずに済む学習環境の整備を続けており、近年では進学実績もどんどん伸びています。ただ、大学進学実績だけにこだわるつもりはなく、今後、益々予測が難しくなっていく未来社会をしっかり生き抜いていける芯のある人間へと成長してほしいと考えています。そのために、挨拶・掃除・時間を守るなど、中学校初期で凡事を徹底し、自立した人間を育てていくための土台作りに力を入れています。また、一貫校でしかできない中高縦割りでの活動機会を増やしています。例えば、中学と高校の同一クラス・同一班での清掃活動や体育祭、橘祭などでも中高合同で実施し、違う年代の生徒同士のコミュニケーションから生まれる人間的成長を期待しています。
私は20年ほど本校で教鞭をとってから、校長となって4年目になります。前任の校長の「文武両道の進学校を目指す」という方針を受け継ぎつつ、これまで「個々の可能性の伸長」「探究」「文武不岐」の3つの教育コンセプトを掲げて学校改革を進めてきました。これからの京都橘は、生徒一人ひとりの個性を最大限に伸長させるために、授業もクラブ活動や探究活動も全力で臨みながら、益々有意義な6年間が待っています。
SPIRITS創立者の建学精神「自立・共生」が今も生き続ける同校
創立120年を超えた歴史ある同校。2000(平成12)年の男女共学化の前に、先生方が議論の末、改めて創立者の建学精神「自立・共生」を教育方針とすることとなり、今に受け継がれる。生徒一人ひとりを大切に、その個性・適性を見極め、適時、的確なアドバイスを実施する先生方を、校長先生も大絶賛。生徒面談は、休憩時間や放課後を利用して実施され、メモをとり応対する先生や生徒にPCを見せながら応対する先生など、生徒想いの熱い先生方が多い。
GLOBAL EDUCATIONコミュニケーションツールとしての使える語学力を養成する
高校では異文化交流を通じて国際感覚を養う海外研修が、短期語学研修から中期留学、ターム留学、一年留学まで多彩にあるが、中3でも留学体験が可能。英語の授業は、テキストとiPadを併用して授業が進行。音声入力が可能なソフトは、間違いをチェックしてくれる優れもので、先生から「しっかり発音できれば読み取ってくれるから」と聞き、生徒たちは「マジ!?」と大喜び。iPadの使い方は生徒によって様々で、画面上で問題を拡大しながら、手描き入力やタッチペンを使う生徒、普通にノートに書いて、スクショする生徒など、自由に取り組む。「彼らは週末に部屋の掃除をします。」の英作文では初めが大文字、cleanにsはいらない、weekendにはsが必要など、わかりやすく解説。
INQUIRY BASED LEARNING中1では総合学習でブレインストーミングを体験
過日行われた文化祭の振り返りの授業。テーマは、「『答えのない問い』を求められ、難しかったこと、困ったことは?」班のメンバー毎に付箋紙にどんどん書き出していく。あっという間に、机の上が付箋紙だらけになり、20枚以上が6名、最大31枚貼った生徒がいた。今度は「班で意見を一言で、まとめ、説明してもらいます。」「アイデアがない」、「四苦八苦」等々、壁にぶつかり苦労して取り組んだ様子が窺えた。