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学術研究者や作家を数多く輩出する同校ならではの知的空間【清風南海】

大きな吹き抜けのある自習ブースは壁面がコンクリート打ち放しで、どこか瞑想空間のようにさえ思える。(清風南海の図書室)

■図書室に入って、まず目につくのがユニークな企画展示コーナー

ここには「図書委員さんが本屋さんで選んできた本です」とあり、流行の恋愛小説からアメリカの音楽史、熱帯魚の図鑑や世界各国の美術など、色とりどりの書籍が並ぶ。これらは各クラスを代表する図書委員の中から抽選で選ばれた25名の生徒たちが、大阪・難波の「ジュンク堂書店」に出向き、学校図書として選定してきたもの。自分の興味だけでなく、友だちに読んでほしいと思う本を選ぶとあって、メンバーには幅広い教養が求められる。

■弘法大師に生徒たちの未来を請願した、創立者の思いが込められた図書室

2013(平成25)年に創立50周年を迎え、それに合わせて新校舎が完成した清風南海中・高。南海本線に沿って建つ校舎は創立者・平岡とうほう宕峯師の名を冠して「宕峯館」と呼ばれ、学園のシンボルとなっているが、これは創立30周年時に建設された校舎。この1階フロアの約90%を占めるのが図書室で、約4万冊の蔵書と104席の閲覧スペース、そして吹き抜け空間のある自習ブースを持つ魅力ある空間となっている。

『鴨川ホルモー』で鮮烈なデビューを飾り、その後も『鹿男あをによし』や『プリンセストヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』など奇想天外なストーリー展開と軽妙しゃだつ洒脱な文章で一躍人気作家となった万城目学さん(1976年生まれ)は同校の出身。京都大学に進学した後に作家となったが、実は同じ道を一足先に歩んだ先輩がいる。それが貴志祐介さん(1959年生まれ)。『黒い家』や『青の炎』、『悪の教典』といったミステリーやサイコホラーで知られる作家だ。二人は『別冊文藝春秋』(2010年11月号)で対談が実現しており、ともに同じ国語教師に習い、ユニークな発想が認められことが作家を志すきっかけになったと語っている。 学校図書館がうまく機能している学校は、総じて生徒たちの知的好奇心や探究心が高い。さまざまな仕掛けで生徒たちの興味を引き付ける司書や図書委員など、学校図書館の運営に携わるスタッフたち。とても生き生きとした表情が印象的だった。