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江戸時代、薩摩藩(現在の鹿児島県)では「郷中教育」によって教育が行わ れていた。これは、武芸や学問を居住 地域の先輩が後輩に教えるもので、 まさに「学びながら教え、教えながら 学ぶ」という独自の教育制度である。 グループには必ずリーダーがいてメン バーの面倒を見なければならず、今で いうリーダーシップトレーニングの場 としても機能していた。幕末から維新 へと、時代の大きな潮流を作った西郷 隆盛や大久保利通といった有為な薩摩 藩士を育んだことでも知られている。 ラ・サール中学校・高等学校は言わず と知れた全国トップレベルの男子進学 校だが、全校生徒の半数以上を占める のが親元を離れて生活する寮生たち。 中学の8人部屋から高校での個室へと、 成長に合わせてライフスタイルは変化 する。同輩や先輩・後輩との豊かなつ ながりの中で育まれるものは、確かに ここに息づいていたーーー

撮影/岩井 進 取材・文/橘 雅康(本誌編集長) 同行/小松原景久(日能研関西会長)

「真理の楯」×「智性のしるべ」ラ・サール教育の源にあるものとは

その生涯を青少年教育に捧げた聖ジャン=バティスト・ ド・ラ・サール師(1651-1719,フランス)。現在、 世界80か国に約1000校もの学校が運営されている。 日本にキリスト教がもたらされた最初の地、鹿児島に ラ・サール高校が設立されたのが、1950(昭和25) 年。その6年後に中学校が設立された。同校で歌い継が れる「ラ・サール讃歌」の一節には「真理の楯 智性の しるべ」とあり、カトリックの教育観をもとに、世界へ の広く正しい知識を培うことが目標とされている。


  • 静謐な祈りの空間である聖堂。生徒たちは心を落ち着かせたい時にここを訪ねる

  • 校内の修道院前には、カトリックの教育修道会ラ・サール会の創立者である、聖ジャン=バティスト・ド・ラ・サール師の像がある