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1875(明治8)年、新島襄によって京都・今出川の地に男子校である同志社英学校が設立された。その翌年、女子校は私塾として産声をあげ、同志社における女子教育が始まった。キリスト教精神に基づく人間教育を実践し、今年で141年。変わるものと変わらぬものについて、校長・辻村好先生に話を伺った。

撮影/岩井 進  取材・文/橘 雅康(本誌編集長) 同行/村岡一樹(日能研烏丸校室長)

「落ち着いたこの環境で、ぜひ学んでください」と校長・辻村 好先生

同校の象徴とも言うべき栄光館(写真右)は、1932年の竣工で、建築家・武田五一によって設計された。八角塔とアーチ型の窓が並び、それだけで趣を感じる。
「同志社大学や同志社女子大学のキャンパスも含め、ここには登録有形文化財のチャペルや校舎がたくさんあります。本校には2016年に生徒が主体的に活動できる希望館ができました。校舎という存在は大きいですから、見えるところは随分変わったという印象があるかもしれませんが、古いものと新しいものが違和感なく溶け合うのが同志社らしいところかと思います。
私自身は東北地方の出身でクリスチャンではありません。大学受験の時に初めて同志社を知り、単身京都に出て学んだわけですが、国語の教師として本校に勤めて年になります。いま校長としてこの同志社女子という学校を考えると、創立時からキリスト教の教えに基づいて『地の塩 世の光』となる女性を育んできたことの意義深さをあらためて感じます。生徒から生徒へ、教職員から教職員へ、脈々と引き継がれ受け継がれてきた自由・自治の校風を愛おしく思うのです。ここで生涯の友と出会い、互いの成長を感じながら育ってゆきます。私の使命は、どれだけ世の中が大きく変わったとしても、時代の流れが速くても、決してこの学校の校風を絶やさぬことだと自覚しています。」
長年、同校の生徒たちを見てきて感じるのは、いつでも陰になり日向になることができる生徒たちの人間力だろうか。生徒たちは優しさと強さを兼ね備えていると、辻村先生も語る。
「よく同志社大学や同志社女子大学の先生方とも話をするのですが、本校の卒業生たちは世話好きで、ゼミなどでも中心的な役割を担って活躍してくれているようです。そうした高いコミュニケーション能力とリーダーシップは、就職率の高さにも表れていますね。」
同校は毎年、約90%の生徒たちが内部推薦制度によって同志社大学(85%)・同志社女子大学(5%)に進学する。もちろん、あとの10%には国公立大学や医学系を志す生徒もいる。2003年から始まった「LA(リベラル・アーツ)」「WR(ワイルド・ローヴァー)」という2つのコース制も、高い進路目標を実現するためのものと言っていい。ただし、いわゆる学力別編成という枠以上のものがここにはある。同志社アカデミズムともいうべき、その学びの幅広さ、奥深さをじっくりと見て味わってほしいと思い、今回の取材では特に中学1年生と高校3年生の取り組みに焦点を当てることにした。中高6年間という歳月が生徒たちをどのように成長させるのか、ぜひ注目を!

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