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学園のマインドを歌声にのせて

毎年6月中旬に行われる同校の名物行事が「サマーコンサート」。マーチングバンドやオーケストラ、筝曲など音楽系のクラブが一堂に会し、日頃の練習成果を発表する場となっている。中でもコーラス部は中学生と高校生がそれぞれのカラーで歌声を披露し、繊細かつ圧倒的なスケール感をもった見事なハーモニーを聞かせてくれる。文化系のクラブに所属する生徒の数は、近隣の私学と比べても圧倒的に多く、活躍の場が多いのも特長となっている。

各種コンクールで全国トップレベルの実力を持つコーラス部。中学生の部員たちは、高校の先輩の息遣いや立ち居振る舞いを学ぶ

本来、教育というものは長期的にとらえ語られるべきものだと思う。だが、昨今の短期的あるいは短絡的な成果主義はどうだろう。

教頭の芝﨑眞光先生はこう語る。
「子どもたちがいろんなことを学び、人として成長する姿をじっくり見守りたいとは思いながらも、一方でやはり毎日の流れの速さというものを実感しています。
人工知能の開発も進み、スマートフォンやロボットなど、子どもたちを取り巻く環境もどんどん変化していますね。この先の未来にはこれまでにない新たな職業・職種が生まれてくると言われていますが、そうした状況の中で未知なる壁を切り拓いたり、新しい価値観を生み出したりという強い力が必要になってくるのだろうと思います。これまでのコース制で積み重ねてきたノウハウの上に、さらに新たな創造的要素を加えていきたいと思っています」

ここ数年、「グローバルな視点で」「世界に目を向けて」「地球規模で」物事をとらえようと声高に叫ばれるが、世界各国の紛争によって生じた難民を受け入れるかどうかで揺れ動くヨーロッパの国々を見ていると、グローバルどころか、世界は完全に内向きになっているのではないかと思えてならない。

2020年に開催される東京オリンピックによって外国人の来訪者は格段に増すだろうし、アジアやアフリカの新興国はマーケットとして十分魅力的だろう。広義でいうところの「グローバル教育」には、その背景として否応なく経済至上主義が見える。

何をもって豊かだと考えるか、その価値観はさまざまだろう。ただ、まもなく創立から80年を迎える武庫川学院は、間違いなく生徒個々の幸せとは何かを常に考え、そのために何が必要なのかを真摯に追い求め、出した答えを学院の教育として実直に実践し続けてきた学校だと思っている。そういう視点から見ると、新たに生まれるコース名に「創造」の文字が加わっていることに大きな意味を感じずにはいられない。在校生や卒業生たちの手によってクリエイトされた多様な「幸せの価値観」や「ライフスタイル」を、ぜひとも新たな世界のモデルとして示し、実践してもらいたいものである。

「創造サイエンス」と「創造グローバル」という2つのコース編成。そして、基準となる学力を越える生徒には国公立大学など他大学への併願も可能になるという新たな改革を行う同校。強い決意表明として受け取った。

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