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1952(昭和27)年、聖ヴィアトール修道会によって設立された洛星中学校・高等学校は、キリスト教カトリックの人間観・世界観を教育の根幹に据えた進学校である。その理念の中には、「世界的視野に立って時の求めるところを鋭く察知し、開拓者として、不屈の精神をもち、常に積極的に自らの未来を切り拓く努力を怠らない」という一節もある。伝統として、京都大学をはじめとするアカデミックな校風を持つ国公立大学への進学者が多い背景には何があるのだろう。これまでの半世紀に及ぶ同校の歩みと、これからの歩みについて、校長・阿南孝也先生にうかがってみた。

全国的にも稀有な男子校という存在


放課後、静かな図書室の個別ブースで勉強する高校生の姿も多い。高3の生徒には4階の大教室が自習スペースとして提供されている

ここ数年、全国的に男子校あるいは女子校からの共学化が増え続けている。京都府内の私立中高一貫校でみると、男子校は洛星を含めわずか2校。男子教育だからこそ味わえる寛容さや厳しさは、生涯の宝物となるはずだ。しかも同校はカトリック系のミッションスクール。バックボーンの通った教育は、思春期の人間形成にとても大きな意味を持つ。

洛星教育の本質とは何か

本校は、カナダにあるカトリック修道会が作った学校です。創立時から外国人神父たちの手によって教育が実践されてきました。母国を離れて奉仕する先生方の生き様そのものが、在校生にとっては、他者につかえる存在に触れ、同時に異文化を学ぶ機会となっていました。全国的な傾向として、昨今は神父の数そのものが減少していますから、カトリック校は創設の理念を見つめ、学校のアイデンティティーを明確にしなければなりません。

「世界的視野」ということで言えば、毎年、高2の生徒20名ほどが大阪のカトリック系男子校・明星の生徒たちと一緒に、アメリカ・ハーバード大学での「次世代養成プログラム」に参加します。彼らは事前に何度か研修を受け、英語と日本語でのプレゼンテーションを学びます。そして、アメリカではハーバード大学の学生寮に寄宿し、午前中は徹底した語学研修。午後からは特別プログラムとして、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学医学部、イエズス会のボストンカレッジなどでさまざまな体験をし、学びの本質に触れます。他にカナダやオーストラリアでの研修もあります。

現在、本校にはブルキナファソ出身の神父もいますので、今後はアフリカや身近なアジア諸国にも目を向けた取り組みを考えていきたいですね。

英語科には外国人の専任教師が3名いますが、高3での英作文の添削指導で特に効果が大きいように思います。日本語に合わせて英単語を連ねるだけでは通じないことがあります。英語圏の人々の肌感覚と言いますか、言葉のニュアンスというものはやはりネイティブスピーカーから学ぶことが一番です。

これまでの本校の教育では、生徒たちをずいぶん大人扱いしてきたものですが、昨今はご家庭のニーズや志向も様変わりし、きめ細かな学習サポートがより求められるようになってきました。それに伴い、日々の補習や勉強合宿なども行っていますが、洛星教育の本質が変わってしまったわけではありません。

どれだけ時代が変わろうとも、本校は創立以来、生徒たちが自主的な活動を行い、主体的な学びを通じて活躍の場をどんどん広げてくれることを願ってきた学校です。文化祭やクリスマスタブローなどの行事を観ていただけると、必ずうなずいていただけるのではないかと思っています。

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